アレチヌスビトハギ(マメ科シバハギ属)の棘

 

アレチヌスビトハギここ数年、金沢区で急に増えてきている花の一つが、アレチヌスビトハギです。
ヌスビトハギに較べると、一回り大きい花は、色も濃く、目立ちます。
一番大きな違いは、くびれた実が4−5個続いていることです。
(ヌスビトハギは2個で1組)
この実は「くっつき虫」と呼ばれるものの仲間です。

ズボンについた果実草やぶの中を歩いたら、こんな事になってしまいました。
前も、後ろもアレチヌスビトハギの果実だらけ・・・
払ったくらいでは、取れません。仕方ないので一つ一つ指ではがしました。
通りかかった小学生が数人で、手伝ってくれました。
こんなにしっかり、くっついていたら、種子の運搬を動物たち(人も含む)に依存しているのに、落として貰えないのでは? 少し、心配になりました。

棘の様子を見てみよう!

アレチヌスビトハギの果実には一つ一つの棘の先がカーブしていて、こんなに、たくさん。
これでは、なかなかはずれないはず!
では、ヌスビトハギの実はどうでしょう? こちらも、鈎のような棘はありますが、アレチヌスビトハギに較べると、ずっと数が少ないのです。

在来種のヌスビトハギは、減少傾向にあるのに、帰化種のアレチヌスビトハギは急増中。この原因の一つは、種子を散布する機動力の差ではないでしょうか?

アレチヌスビトハギの棘 左:アレチヌスビトハギの棘
(クリックすると大きな写真が見えます)

右:ヌスビトハギの棘。

ヌスビトハギの棘

くっつく時期を選びたい

果実の関節棘の多い少ない、棘の先のカーブが鋭い、緩いはともかくとして、両方とも「くっつき虫」
この節のある実(牧野図鑑では『節ざや』)は、中に入っている種子が熟す前に、何かにくっついて運ばれてしまったら、次の世代を残すどころか、未熟なままの種子は腐ってしまいます。

熟すまでは、運ばれては困る。熟してきたら、運んでほしい。
この問題を解決するために、一つの工夫がされていました。

鞘と、鞘の間、節になったところに、ミシン目のように切れ目が入るのですが、
これが完成する時期が、種子が熟す時期、棘が完成する時期と同じなのです。
たとえ見た目がまだ緑でも、つい熟して発芽できる状態になっているのです。
だから、切れ目ができあがった頃にはもう、運んでもらっても大丈夫。
運ばれている途中で、ひとつひとつがポロリポロリと、落ちてくれれば大成功!!

(改めて、ズボンについた実を見て下さい。実の根元にあるはずの茎(果柄)がついていないのが分かります。)

・・・ある程度、運ばれてから、どの様にして落ちることが出来るのかは、また来年のお楽しみ。

写真とお知恵は:矢追義人さん提供 (2002.12.17)

帰化植物のページ