キキョウソウは1931年に横浜市で報告された北アメリカ原産の帰化植物です。小さいけれど今では売品以外殆んど見かけなくなったキキョウそっくりの花を春から夏にかけて咲かせます。
10年位前はたまに見かける程度でしたが今はあちらこちらで見ることができます。どちらかというと車道沿いに多いようです。細かい種子が車の巻き起こす風で運ばれるのかもしれません。
赤紫色の花(開放花)を咲かせるほかに、花を開かないまま種子をつくる閉鎖花もつけるので繁殖力は旺盛です。
花を覗き込んで見ましょう。最初は雌しべの柱頭は閉じたままで、周りにある雄しべの花粉を外側にたっぷりつけています。 やがて花粉を出し終わった5本の雄しべは外側へと倒れていきます。真ん中にすっくりと立っている雌しべの外側についた花粉を昆虫達が運び去ります。 周囲に付いた花粉が運び去られるとやっと柱頭が開き始め、別の花の花粉をつけた昆虫から花粉を受け取ります。
  
キキョウ科の花はみなこのような形で花粉の受け渡しをしています。雄性先熟といわれる方法で自分の花の花粉をもらわないための工夫と言われています。
開放花の萼は左の画像のようにのように5裂しています。 閉鎖花の萼は3〜4裂するので実の時期にも区別できます。
種子が熟してくると1つの実に2箇所「窓」が開きます。窓の上にはカーテンを巻き上げたようなものが残ります。
風が吹くとこの窓から種子がこぼれ落ちます。そのまま地面に落ちる種子、すぐ下の葉の上に落ちて次の風が吹くまで待っている種子など色々です。
  
この窓がどうやって開くのか気になって付き合って見ました。実が未熟なときは少しくぼみがあるなぁと言う程度にしか見えません。 種子が熟すにつれ窓の壁が薄くなり種子が透けて見えてきます。 大きく育ってきた種子がふくらんで壁を外側に押しているように思われました。 見始めて20分くらいたつと窓の下が少し開いてきました。そして、ゆっくりゆっくり窓が開いていきます。開き終わるまでは70分以上かかりました。 ムラサキケマン、ミチタネツケバナ、ツリフネソウなどが一瞬ではじけるのと違ってかなり時間がかかります。そのつもりで見ていると戸外でも開き始めのものに出会えるかもしれません。
  
  
一つの実には小さな種子が90個以上入っています。 種子の表面には細かい突起がありました。 画面の横幅は約1.2mmです。
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たまにはこんな風に花冠が4裂した花、2つの裂片がくっついたままになってしまった花などもあります。 |
(2007.6.7)
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