キレハヒメオドリコソウ(シソ科オドリコソウ属)
別名 モミジバヒメオドリコソウ

春に咲くシソ科の帰化植物にキレハヒメオドリコソウ(モミジバヒメオドリコソウ)があります。
初めて気が付いたとき、ホトケノザでもないしヒメオドリコソウでもないし、変だ変だと思ったのですが先生方に見ていただいても「ホトケノザでしょう」と言われて2シーズンが過ぎました。3シーズン目にやっと新帰化植物だということが分かりました。英名が Cutleaved Red Deadnettle なので「キレハヒメオドリコソウ」と名付けられたのですが、その後同じ名前が別の植物につけられていたので「モミジバヒメオドリコソウ」になった経緯があります。現在では両者は同じものとみなされるようになりました。

名前から分かるように、オドリコソウに近い種類なのですが、花の色はホトケノザそっくりです。
簡単に違いを並べてみます。

1月の様子

ヒメオドリコソウは葉の一面にチリメンのような細かい皺があるのですぐ区別できます。モミジバヒメオドリコソウとホトケノザはこの時点では、見慣れないと区別が付きにくいかもしれません。

ヒメオドリコソウ
ヒメオドリコソウ
モミジバヒメオドリコソウ
モミジバヒメオドリコソウ
ホトケノザ
ホトケノザ

モミジバヒメオドリコソウは11月末から12月中旬まで、ちらほらと花が咲いていますが、1月に入ると一時花の数が減ります。日当たりが良く風が当たらないところでは、ホトケノザは花が咲いていますが、ヒメオドリコソウは殆ど咲いていません。

花時の様子

ヒメオドリコソウ
ヒメオドリコソウ
モミジバヒメオドリコソウ
モミジバヒメオドリコソウ
ホトケノザ
ホトケノザ

ヒメオドリコソウは上の方の葉が赤紫を帯びることが多いようです。モミジバヒメオドリコソウは赤紫を帯びませんが草全体の姿はヒメオドリコソウにやや似ています。ホトケノザは三蓋草の別名のとおり、葉の上に花が突き出すような印象があります。
花の色はヒメオドリコソウは薄いピンクですが、あとの2種は鮮やかなピンクで、花の時期にはヒメオドリコソウとはすぐに区別ができます。

ヒメオドリコソウ モミジバヒメオドリコソウ 上から見たところです。
左がヒメオドリコソウ。
右がモミジバヒメオドリコソウ。
モミジバヒメオドリコソウは花盛りの季節になると、葉が垂れ下がらない事もあります。

花のすぐ下の葉柄

ヒメオドリコソウ
ヒメオドリコソウ
モミジバヒメオドリコソウ
モミジバヒメオドリコソウ
ホトケノザ
ホトケノザ

難しい用語は分かりませんが、素人が区別するのに一番分かりやすいのは、花が付いている場所のすぐ下にある葉の様子だと思います。
ホトケノザだけは葉柄がありませんが、ヒメオドリコソウとモミジバヒメオドリコソウはしっかり葉柄がついています。

まとめ

ヒメオドリコソウ モミジバヒメオドリコソウ ホトケノザ
・葉が縦長の3角形で細かい凹凸がある。
・花の時期にも葉が赤紫を帯びることが多い。
・花の色は薄いピンク。
・花のすぐ下の葉に葉柄がある。
・葉は菱形っぽく、切れ込みがある。
・花の時期に葉は赤紫にならない。
・花の色は濃いピンク。
・花のすぐ下の葉に葉柄がある。
・茎上部の葉は半円形で、切れ込みがある。
・花の時期に葉は赤紫にならない。
・花の色は濃いピンク。
・花のすぐ下の葉に葉柄が無い。

(2003.02.10)

この3種の花はみんな小さいのですが、葯(雄しべの先にある、花粉を出すところ)に細い白い毛が生えています。種子の形は似ています。その様子は「オドリコソウ属の葯と種子」で。

帰化植物のページ