コセンダングサの雌花

コセンダングサは筒状花だけをつけますが、その筒状花について全ての花が雌性期になっているものを選んで、11月4−22日に33頭花、11月27−28日に24頭花を調べました。その時、少数ですが花粉がまったく無い雌花(雌小花)があるのに気づきました。 同じ株に雌花をつけない花と付ける花がついていました。寒くなるにつれ雌花が増えてきていました。


調査日総頭花数 雌花がある頭花数筒状花総数 雌花数
11月4-22日335(15.15%)14758(0.54%)
11月27-28日249(37.50%)114221(1.84%)

雌花の有無と、しべの高さの関係

コセンダングサの1つの頭花の中には、花冠の上に葯が高く突き出すタイプと、殆ど葯が突き出ない低いタイプの筒状花が混ざっています。「高い」方が「低い」方より花粉の量が多いのです。(詳細は「コセンダングサ・しべの長短」にあります)

雌花をつける頭花と、全くない頭花に分けてシベが高いタイプの出現率を調べてみました。
少ないデータですが、頭花の中に雌花が混ざっているときは、両性花でもより多くの花粉を出す「シベが高いタイプ」が多くなっています。

調査日雌花有り雌花無し
11月4-22日25.9%19.42%
11月27-28日17.16%15.16%

4裂と5裂の雌花

雌花には花冠が4裂するものと5裂するものがありました。私が見た範囲では4裂する雌花の方が多かったです(4裂の雌花66個、5裂の雌花37個)。雌花の葯は花粉が無いので熟して茶色になることもなく半透明な黄色をしています。

花冠4裂花冠4裂花冠が4裂しているもの
花冠5裂 花冠5裂 花冠が5裂しているもの

筒状花の下部、雄しべの数

両性花と雌花では、筒状花の花冠下部の形が違います。葯の数も雌花の方が減っています。下の表は11月28日に見つけた17個の雌花について調べたものです。本来だったら5本あるはずの雄しべがどのくらい少なくなっているか、減少率を計算しました。
調べた花数が少ないので断言は出来ませんが、花冠が4裂している雌花の方が雄しべの数の減少率が高くなっています。より雌花らしさが強いと言うことでしょうか?


 雌花総数雄しべ5本雄しべ4本 雄しべ3本雄しべ2本雄しべ平均減少率
4裂700 432.5748.57%
5裂1012 523.2036.00%

雌花の筒状花 雄しべ2本の雌花雄しべ3本の雌花
雌花と両性花
左の2個が雌花、右の2個が両性花。
雌花の方がほっそりしている。
雌花の雄しべ
雌花の雄しべは色が薄い。
数が少ないこともしばしばある。
左が2本のもの、右が3本のもの。

雌花にも雌しべが長く突き出るものもある

雌花にも雌しべがやや長い花もありますが、(雄しべが退化しているから当然ですが)雄しべは長くてもせいぜい花冠からほんの少し頭が出ている程度です。
左の画像は筒状花冠からほんの少し葯がのぞき雌しべが長く突き出した花。
中央の画像は筒状花を取り除いた雌しべの長い雌花。
右の画像のように雌しべがずば抜けて伸びているくせに柱頭が小さく、まるで雌しべも雄しべも退化したような花もありました。いずれの葯も、半透明で花粉は入っていません。

長く突き出た雌しべ 雌花 柱頭が小さい雌花

雌花だらけの頭花もある

雌花だらけの頭花

左の写真は11月11日に見つけたものです。
59個ある筒状花の内、シベが長い両性花が1。シベが短い両性花が5。
雌花が53個。雌花の比率は89.8%にもなります。
この花では花冠が4裂した雌花が32個、5裂した雌花が21個でした。


11月27日に数えた頭花は、筒状花60個のうち雌花が21個(35.0%)。そのうち筒状花冠が4裂した雌花が18個、5裂した雌花が3個。
この2つの花は雌花の割合が極端なので、別格扱いとして今までの表では数に入れていません。

雌花よりずっと少ないですが奇形花もありました。
まだ雄花は見つけていません。

(両性花はシベの短いタイプであっても花筒を透かして葯の色が見えること、花筒下部の形が違うことで両性花と雌花の区別はわりに容易です)

(2003.12.1)

コセンダングサ・しべの長短   帰化植物