コメツブツメクサ・コメツブウマゴヤシ

 

黄色の小さな花を咲かせるマメ科の植物に、コメツブツメクサがあります。それによく似たものでコメツブウマゴヤシというのがあると知ったのはかれこれ10年前のことでした。それ以来コメツブツメクサを見るたびに、この中にそっくりだけど違う種類の花が混ざっているのかもしれないと、座り込んで1本ずつ、ルーペでのぞき込んではがっかりし続けていました。
ところが2001年6月、はじめてコメツブウマゴヤシに出会うことが出来、実際に見てみると少しも似ていないので出会えた嬉しさと共に、今までの努力は何だったのだろうとがっくりしました。

コメツブツメクサはシャジクソウ属、コメツブウマゴヤシはウマゴヤシ属なので名前が似ていても、この両者を並べてどこが違うと書いてある本がありません。別々のページを繰りながら、托葉の形が違う、萼の形が違う(コメツブツメクサは5つの裂片の長さが不揃い。コメツブウマゴヤシは裂片の長さがほぼ同じ)。葉の形が微妙に違うなどと細部にこだわっていたのですが、落ち着いて考えてみれば属が違うと言うことは、かなり違うわけで一目見ればすぐ分かるのも当たり前かもしれません。反省をこめてまとめてみました。

草の姿

  コメツブツメクサ コメツブウマゴヤシ

左がコメツブツメクサ。右がコメツブウマゴヤシです。コメツブツメクサは草丈が低く、膝をついても俯瞰した写真しか撮れませんが、コメツブウマゴヤシは腰をかがめるだけで横から撮れます。
花穂の大きさもかなり違います。コメツブウマゴヤシを見つけたときは、車道をはさんで向こう側の空き地に生えていたのですが、ずいぶん背の高いクスダマツメクサだなーと思って近づいたくらい、花穂は大きく2cmくらいの長さがありました。


比較 私はまだ1ヶ所でしか見たことがないので、どこでも同じなのかは分かりませんが、コメツブウマゴヤシの方がずっと花期が遅いようです。
2002年5月5日、昨年見つけたところに行ってみました。6坪くらいの空き地にコメツブウマゴヤシは5-60株ありましたが、ほとんどが5cm以下の幼苗で、やっと1本だけ花と実が付いている物がありました。
比較のため並べてみます。左がコメツブツメクサ。中央と右がコメツブウマゴヤシです。(全て2002年5月5日採取したもの)

コメツブツメクサの葉コメツブウマゴヤシの葉 左がコメツブツメクサの葉、右がコメツブウマゴヤシの葉。(縮小率は同じ)
コメツブツメクサの方がこころもち先端がくぼんでいると言えば言える形をしています。
写真ではわかりませんが、コメツブツメクサの葉はほとんど無毛、コメツブウマゴヤシの葉は表も裏も、細い白い毛が生えています。

やはり一番の決め手は果実の形

タチオランダゲンゲの実コメツブウマゴヤシの果実 左はコメツブツメクサと同じシャジクソウ属のタチオランダゲンゲの果実。 コメツブツメクサの花穂は小さいので、これで代用します。
受粉が終わった花はこのように下を向きます。花が落ちないまま、その中に果実を作り始めます。 コメツブツメクサも鮮やかな黄色の花の下に白っぽくなった花が付いていますが、その中で、すこしずつ果実が成熟していきます。(下図参照)
右がコメツブウマゴヤシの果実。こちらは花が終わると花殻は残らずに丸まった果実を付けます。
ジャジクソウ属のものは咲き終わった花がだらしなく下を向いているように見える形で果実をつけています。咲き始めのほんの短期間以外は、花と果実(未熟な物も含めて)が両方ついています。そこを注目すればコメツブツメクサとコメツブウマゴヤシの区別はルーペを使わなくても、細部にこだわらなくても簡単にできるようになりました。

シロツメクサ ムラサキツメクサ 左がシロツメクサの果実と種子、右がムラサキツメクサの果実と種子です。どちらもシャジクソウ属の植物ですが、咲き終わった花の中を分解してみるとこのように果実をつけていました。

2002.5.6作成 5.23一部追加

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