モウズイカの仲間

モウズイカ? なにそれ? ボウズイカじゃぁないの? それにしても坊主頭のイカなんて??? そんな声が聞こえます。
 イカ(烏賊)のお話ではありません。モウズイカというのはれっきとした植物の名前なのです。
  雄ずい(雄しべのこと)の軸の部分に毛が生えているので 
モウ(=毛)、ズイ(=蕊=雄ずいのずい)、カ(=花)という名が付きました。

同じように誤解を受ける花の名前としてはクサレダマというのがあります。腐れ玉だと思われがちなのですが
レダマという木があってそれに似ている草なのでクサ(=草)レダマなのだそうです(閑話休題)

ゴマノハグサ科モウズイカ属に属する仲間は以下の3種類ありすべて帰化植物です。

モウズイカ  ホザキモウズイカ(別名 アレチモウズイカ)  ビロードモウズイカ

モウズイカ

モウズイカ
Y.Tさん撮影
横浜市内では今のところ三ヶ所でしか見つかっていません。私は一カ所でしか見たことがありません。
しかも朝の内に花が咲いて、午後になるともう花が落ちています。たまたま公園の中に生えているので律儀に草刈りをされてしまい楽しみにしていてもすぐに根元から無くなってしまいます。
そういうわけでなかなか見ることも、撮ることも難しい花です。

葉は濃い緑色でごわごわした感じです。
果柄の先に直径実は1cm近くの果実が付き、中に細かい種子がたくさん入っています。これは1ヶ所に果実が一つだけ付いています。
根生葉
根生葉
花
果実
果実

モウズイカ

ビロードという名は草全体に白い毛が生えているからです。フランネルソウをご存知の方はあの草を思い出して下さい。同じように全体がビロードみたいに白い毛に覆われているのです。
この花は丈夫らしくあちらこちらでよく見かけます。高速道路沿いに、鉄道線路沿いに、どんどん広がっているようです。たくましすぎて目障りなほど(?)増えています。けれど、近づいてみると実にかわいい花を咲かせています。
姿 花

ホザキモウズイカ(別名 アレチモウズイカ)

この花にはなかなか出会えませんでした。気付いたときはもう未熟な果実ができて居たりして、何年かかかってやっと花に出会うことができました。/td>
ホザキモウズイカ 花 花


モウズイカの仲間の花をじっくり見てみます。「毛 蕊 花」の名前の通り雄しべに毛が生えて居るのがはっきり見えます。
この仲間は一日花なので夕方にはポロッと落ちてしまいます。合弁花なので椿と同じように雌しべは子房とともに残り、花弁と雄しべがくっついて落ちます。雄しべは5本ありますが3本は長く2本間短いです。花粉は白でした。
モウズイカ
モウズイカ
モウズイカ
矢印は葯
ホザキモウズイカ
ホザキモウズイカ
ビロードモウズイカ
ビロードモウズイカ

モウズイカとホザキモウズイカ(アレチモウズイカ≫がそれぞれ何本かずつ同じ場所に生えて居たので、どうもその雑種ではないかと思われるものが出てきました。
モウズイカは葉や茎が無毛で花は1節に1個、花柄の長さは1〜1.5cm、
ホザキモウズイカは葉や茎に短い線毛と短毛があり、花は下方では1節に1〜数個、花柄は3〜5mm
  (長田武正著 日本帰化植物図鑑 北隆館より)

ところが私がみた花柄があるモウズイカは花柄は1cm以上で、萼にも花弁の外側にも全体に腺毛がたくさんついていました。(クリックすると少し大きな画像が見えます)

萼
萼にも
花弁の裏
花弁の裏側にも
蕾
だから蕾は・・

なかには1節に1花しかついて居なくて、花柄がほとんどないほど短いタイプもありました。モウズイカとホザキモウズイカと呼んでみましたが、もしかしたら名前を付けられてから長い時が立つにつれ、双方の特徴を持つものが現れているのではないかと思いました。
(2000.9.3作成 順次追加)
  帰化植物