イヌホオズキ(ナス科ナス属)の仲間たち

子どもの頃、赤い皮をかぶったホオズキの実をそぉーっと気長にもんで中の種子を取り出して、口に含んで鳴らしたときの青臭い香りが懐かしいです。最近では家の近くでホオズキを見ることは少なくなりました。
そのかわり花が小さくて実が黒く熟すイヌホオズキや、赤く熟すハダカホオズキなどが有るのに気が付きました。
全部ナス科の植物ですが、本を調べるとホオズキはホオズキ属。ハダカホオズキはハダカホオズキ属。イヌホオズキやヒヨドリジョウゴ、ワルナスビがナス属でした。
そのイヌホオズキの中にもいろいろな種類が有るようでどうして今まで気が付かなかったのか不思議ですが見れば見るほど混乱してきています。これからも見たことの無かった物と出会うことがあるでしょうが、とりあえず私自身のメモのつもりでこのページを作りました。

イヌホオズキ(Solanum nigrum L.)

イヌホオズキ イヌホオズキ イヌホオズキ

このページにある他の種類のものと較べて一番わかりやすい違いは、花びら(正式には花冠)が深く切れ込まないので広く見えることです。花の大きさは8−12o程度、実は6−9個程度ついています。1果実中の種子の数は5個調べたところ23−39粒ありました。実は黒く熟していますがそれほど光っていません。


オオイヌホオズキ その1(Solanum nigrescens Mart.& Gal.)

とにかく名前の通り花が大きいものです。初めて気が付いたのは2000年の8月でした。花びら(正式に言うと花被片)が反り返っていてイヌホオズキのくせにヒヨドリジョウゴみたいだと思いました。気をつけてみてみるとあちらこちらで見つかりました。金沢区内では野島、瀬戸、富岡東等各所にありました。中区の三渓園の近くの歩道にも有りました。
花の直径は1p程度。実の直径は7−10o程度でした。茎に棘みたいなものも有りました。1つの果実に入っている種子は60個程度でした。
オオイヌホオズキ オオイヌホオズキ オオイヌホオズキ

オオイヌホオズキ その2

鶴見川沿いの舗装道路を歩いていて川を見下ろしていたら「何あれ?」というほど花の大きなイヌホオズキの仲間に驚きました。花の直径は1.8p程度ありました。1つの果実に入っている種子は40個前後でした。
以下の5枚の写真は鶴見川沿いで見つけた個体で、矢追義人さん提供のものです。下の段の写真は左側がオオイヌホオズキで右側が普通のイヌホオズキです。ずいぶん大きいことが分かると思います。
(ここからあとの画像はクリックすると大きな画像になります)
左:裏側、右:表側 花を裏側から見ると紫色の筋が入っています。 左:オオイヌホオズ、右:イヌホオズキ

左:オオイヌホオズ、右:イヌホオズキ 左:オオイヌホオズ、右:イヌホオズキ 左:オオイヌホオズ、右:イヌホオズキ

テリミノイヌホオズキ その1
Solanum americanum Mill.; S.photeinocarpum M. Nakam.& Odash.)

テリミノイヌホオズキ テリミノイヌホオズキ テリミノイヌホオズキ

果実が左右にピンとはっている感じがします。果実は黒く熟しますが照りがあるというのか光っていました。1果実中の種子の数は6個調べたところ46−67粒ありました。

テリミノイヌホオズキ その2

テリミノイヌホオズキ テリミノイヌホオズキ 栄区で始めて見てうれしかったものが、身近な金沢区にもあってとてもうれしかったです。

果実が緑色に熟するもの

テリミノイヌホオズキ テリミノイヌホオズキ テリミノイヌホオズキ

イヌホオズキの仲間は実が黒く熟す、そう覚えていました。
ところが、緑色に熟して終わるものがありました。まるでマスカットの皮が薄くなって中の種子が透けて見える感じです。もちろん、ずっとずっと小さいのですが。待っていたら実が黒くなるかと思ったのですが10月6日に気が付いて21日まで通い詰めましたが緑のままです。熟した実の色が違う他はアメリカイヌホオズキにそっくりでした。
一番右側の写真が紫色の花がついたアメリカイヌホオズキです。


イヌホオズキの仲間には、実の中に種子の他に小さな白い、堅い、丸い物が入っている場合があります。それを「球状顆粒」と呼びます。球状顆粒の有無、有る場合にはその数の多少で乾燥標本でも、種の判定が出来るそうです。

次から次へと今まで知らないものに出会って、うれしい悲鳴を上げています。標本と写真を詳しい方にお送りして教えていただきました。

 2000年10月23日(10月25日一部改訂)

球状顆粒   帰化植物のページ