オオイヌホオズキ(球状顆粒)

Solanum nigrescens Mart. & Gal.

「神奈川県植物誌2001」が発刊され、「オオイオヌホオズキ」「球状顆粒」という新しい言葉が出てきました。「球状顆粒」について神奈川県博物館の勝山さん(「神植誌2001」ナス科の著者)の説明を引用させていただきます。

イヌホオズキ類の果実中には種子の他に直径0.5mm位の白色球状の顆粒が含まれていることがあります。英語ではsclerotic granuleと書かれています。日本語に訳されているものがあるかどうかさがしたのですが,見つかりませんでした。それで,神奈川県植物誌2001で「球状顆粒」と訳して使用しました。オオイヌホオズキやアメリカイヌホオズキでは数個,ときに10個以上の球状顆粒が含まれていますが,テリミノイヌホオズキでは無いか,あっても1〜4個と少なく,イヌホオズキの果実には球状顆粒がありません。これは安定した形質と思います。

「神植誌2001」から拾い出してみた、黒い実ができるイヌホオズキ類の1果中の「球状顆粒」の数を( )内に書いてみました。
イヌホオズキ(0)、オオイヌホオズキ(4-10)、アメリカイヌホオズキ(4-10)、テリミノイヌホオズキ(1-4)、カンザシイヌホオズキ(0)
「球状顆粒」は、身近に見られるアメリカイヌホオズキ等の実が熟したら、実をつぶして観察するとすぐに分かります。典型的なタイプの物は生きている植物を見れば区別が付くのですが、紛らわしい場合は「球状顆粒」が頼りになりそうです。
矢追義人さんがオオイヌホオズキの「球状顆粒」を撮影されたので、このページでご紹介します。

採集場所:鶴見川河川敷(横浜市港北区綱島)

種子種子の大きさと1果中に入っている数

オオイヌホオズキ:1.0−1.3mm  60−120個
イヌホオズキ:2mm  30−60個

この写真の左側がオオイヌホオズキ、右側がイヌホオズキです。
(写真をクリックすると、大きな写真が見えます)


 

球状顆粒オオイヌホオズキの果実を縦に割ってみました。
皮のすぐ内側に、白い丸いものがあります。これが「球状顆粒」です。
実の直径は約6mm、顆粒に少し色が付いているように見えますがこれは果肉を通した色で、取りだしてみると白色−乳白色です。

これは乾燥させた標本でも確認できるそうです。

球状顆粒果実を一つほぐして、中を見てみました。
赤い矢印の先に見えているのが「球状顆粒」です。種子に較べてかなり小さく、色が白いのがよく分かります。

詳しいことは「神奈川県植物誌2001」をご覧下さい。 購入方法

(2002.10.19)

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