フキの花(キク科フキ属)

フキの蕾 食卓に馴染み深いキク科のフキ。
蕾が開いてくるとフキには雌株と雄株がありそれぞれが違う形の花の集まりなのに気付きます。
私の住んでいる近くには雄株が多くて雌花が咲く雌株を探すのは少し大変でした。
キク科の花なので1つの頭花の中にたくさんの小花があります。

雌花

雌花 雌花の中の雄花タイプ
雌花は1つの小花に1本ずつの細い雌蕊があり長く突き出していてまるで白い刷毛のように見えます。
受粉が終わると花は赤っぽくなってくるようです。
雌花には花粉も蜜も無いので、昆虫を呼ぶために頭花の中央付近に少数の雄花と同じ形をしていて、花粉は無いけれど蜜を出す花があります。右の画像はその雄花の形をした花をアップにしたものです。
雌花の柱頭
(1)
古い柱頭
(2)
雄花タイプの柱頭
(3)
柱頭の形を見てみました。
  1. は早い時期の雌花の柱頭。まだ白くてきれい。
  2. は遅い時期の雌花の柱頭。先端が茶色になっている。
  3. は雌株の頭花の中央にある雄花の形をした小花の柱頭。形は雄花の柱頭とそっくりです。

雄花

大きい雄花 小さい雄花
(大きい雄花)(小さい雄花)

大小の比較雄花には中央部分の小花がまだ蕾でも外側の小花は長く突き出しているものと、殆んどすべての小花が開いているのに総苞からあまり飛び出していないタイプの2種類がありました。
それぞれの頭花の大きさも違っていて雄花が大きく伸びているタイプの方が直径も大きくなっていました。
とりあえず「大きな雄花」「小さな雄花」と呼ぶことにします。

雌花の柱頭
(4)
雌花の柱頭
(5)
雄花タイプの柱頭
(6)
  1. は大きな雄花を横から見たところです。花筒の先が大き5つに分かれ広がっています。
  2. は大きな雄花の雌蕊です。左隅に見えているオシベの筒の中にたまった花粉を集粉毛で押し出したようです。
  3. 小花の大きさを比較するために並べました。上から雌花、雌株の中にある雄花タイプの花、小さい雄花、大きい雄花です。

雄株の中にある雌花

雄株の中の雌花数は少ないけれど雄株に雌花が混ざる両性花タイプもあると知り探してみました。

小さい方の雄花で見つけることができました(矢印の先)。
同じ花茎でも雌花を一つも持たない頭花もありました。雌花が見つかるものは1つの頭花に30個前後の小花があり外側近くに5-6個の雌花をつけていました。


大きさの比較
雌花の花筒
冠毛
  1. は上から雌株の雌花、小さい雄株の中の雌花、小さい雄株の雄花。
  2. は小さいの雄花にあった雌花の花筒です。雄花に較べて細く裂片の先が反り返りません。
  3. は冠毛です。細かい棘がありました。
果実
果実
(夏山登山で谷道を通ったときフキが冠毛をつけた果実を沢山つけているのを見たことが何度かあります。フキにも果実が出来るのかと驚きましたが、身近で見る栽培されているフキは雄株がほとんどなのだと知って納得できました。)

参考文献

 「フキの受粉」田中肇 Pollence Pollen Science No22 1989
 「野花手帳 秘められた性生活 フキ」多田恵子 山と渓谷 2007.3
(2007.3.20)
植物のページ