ヒメハギ(ヒメハギ科ヒメハギ属)

春、スミレが咲くころに小さな花をつける背丈の低いヒメハギ。1センチくらいの花はとても複雑な形をしています。
萼片は5枚ありますが左右の2枚は大きく淡紫色でダンボの耳のようです。
額片の真ん中にある花冠は根元は1つですが先のほうで3つに分かれていて、一番下の花冠裂片には白い飾りがついて居ます。
雄しべ8本はくっついて筒のようになっています。
花
花
花
花
2枚の大きな萼に挟まれたハート形の平たい果実が熟すころには茎が倒れます。果実の中には種子が2個入って居ます。種子にはエライオソームがついていて蟻に運ばれます。毛がたくさん生えた種子は肉眼ではつやつや光って見えます。
果実
種子

閉鎖花があった

ヒメハギは毎年、夏になっても果実を付け続けます。閉鎖花があるのでは?  図鑑を調べましたが見つかりません。
そこで小さな花の中を覗かせて貰いました。
果実
戸外での様子
果実
熟している種子が見える
子房
子房が膨らんできた

小さな蕾のような状態の閉鎖花

まだ長さ2.5mm程度の小さな蕾の中で既に花粉の受け渡しが行われていました。
雌しべはうつむいて、雄しべの葯へ顔を近づけているようです。
花弁の先にある房のような飾りはとても小さくてよく分からない程度です。

大きな萼を取り除いて花弁を押し下げて見てみました。雌しべの先端は2つに分かれていて両方に花粉が付いています。雄しべは8本あって根元でくっついて筒状になっているそうです。

閉鎖花の柱頭 閉鎖花の花弁

すこし膨らんだ蕾の状態の閉鎖花

萼を除去
手前の萼を取り去った
雌しべの先
雌しべの先
雄しべの先
雄しべの先

長さ5mmになった閉鎖花

閉鎖花
春に見るつぼみの大きさに似てきた
閉鎖花
手前の萼をとりのぞいてみた

花弁の飾り
花弁についている房
小さくて白い
雌しべとおしべ
子房が膨らんで
雄しべは上下に分かれた

実になり始めた閉鎖花

萼
萼は紫色から薄緑に
子房
子房が膨らむ

「原色野草観察検索図鑑」(長田武正著 保育社)

(2005.9.12)
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