ホドイモ(マメ科ホドイモ属)

8月頃に小さな花を咲かせるマメ科のつる植物です。葉は-5個の複葉です。花を見ればすぐにホドイモと分かります。地下に小さな根は根塊があって食べられるとか。
自宅の近くでは見られないので、以前見つけたツツジの植え込みを見に行ってきました。そこは霊園なのでお盆前にしっかり草刈をします。それでここ数年花に出会えませんでした。今年(2005年)は運良く、見落とされた株があって2本だけですが花をつけていました。
とても落ち着いた色の花ですが形がが面白い、というかどうなっているの??? と悩みまむほどややこしい形です。
そこで数輪いただいて調べてみました。
ホドイモ
まず花を正面から見ました。一番上に大きく広がっている花弁が旗弁(きべん)です。ピンクの花弁が翼弁(よくべん)です。
翼弁の上に続く「平仮名のつ」のように曲がっている白い花弁が竜骨弁(りゅうこつべん=舟弁:しゅうべん)で、その中に雌しべと雄しべを包み込んでいます。
左の画像では竜骨弁は旗弁のひだの中に首を突っ込んだ形になっています。
右の画像は旗弁をちょっと力を入れて後方に押したら出てきた竜骨弁とその中にしまわれていた雌しべ雄しべです。

蜜を求めてやってきた昆虫が旗弁を動かし、花は右の画像の状態になる。蜜は花の一番奥にあるのでそれを吸おうとすると、翼弁のすぐ近くまで下がってきた雄しべの花粉が体につけられる。
次の花に行ったときに、体についた花粉をその花の雌しべにつける・・・これで受粉完了! 

旗弁に抱かれた竜骨弁
旗弁に抱かれた竜骨弁
旗弁から外れた竜骨弁
旗弁から外れた竜骨弁

それぞれの花弁を分離してみました。旗弁は一番大きく、下部の左右にはとがった部分がありました。
真ん中の画像は萼と旗弁を取り除いた状態です。ピンクのものが翼弁の先端部分だということがよく分かります。
翼弁は旗弁と同じように下部にとがった部分がありますがくるりとねじれて細い筒の形になっています。
萼を取り外していると、指に蜜がつきます。花の底にたっぷりと蜜がたまっているからです。

旗弁 翼弁など 翼弁

旗弁
翼弁と舟弁に包まれた雌しべ雄しべ 翼弁

最後に、花にとって一番大事な雌しべ雄しべを包み込んでいる2枚の竜骨弁。
雄しべは他のマメ科の花と同じように10本あって、1本だけが離れています。10本の雄しべで守られているように中央に1本の雌しべがあります。
右の画像は竜骨弁を取り除いてみたところです。こんなに曲がりくねった子房から、どんな種子ができるのか。いつか実物に出会えたら追加します。

舟弁と雄しべ雌しべ
舟弁と雄しべ雌しべ
雄しべ雌しべ
雄しべ雌しべ
(2005.8.31)
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