8月末頃から咲き始めるキキョウ科のつる性草本のツルニンジン。傷つけると白い汁を出し臭い匂いがします。キキョウ科なので蕾の時は萼(がく)も、花冠裂片も張り合わせたようになっていて、薄緑の紙風船のようです。 |
![]() | 小さな柱頭(雌しべの頭)には白い毛がたくさん生えています。 寄り添うように回りを囲んでいる雄しべ(4本は取り除いてある)はまだ未熟で花粉を出していません。 上から覗いてみると、最初は柱頭が小さく三角形に開いていました。 時間がたつにつれ口を大きく開きます。 |
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9月15日16:30から、観察を始めました。 萼は閉じていたのに、花冠の先は少し開き始めていました。一回り大きくなった柱頭を5本の葯(雄しべの先、花粉を出すところ)が抱き込んでいます。 柱頭の真ん中は更に大きく開いてきています。子房の回りにも白い毛が見えるようになりました。 5本の雄しべの内、2本が花粉を出し始めていました。 |
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柱頭の外側に花粉が沢山ついていて、3本の雄しべは離れ始め、2本の雄しべはしおれて倒れていました。柱頭の真ん中は先ほどと同じくらいしか開いていません。
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16時間半後(16日 9:00)には、雄しべは5本とも倒れていましたが、外側に花粉を沢山つけた柱頭の開き具合は殆ど変化ありません。 観察開始から2日以上したころに、やっと柱頭に切れ込みが入り始めました。 |
自然状態では、花が開く頃にやっと雌しべは成熟し柱頭が開きます。雄しべは蕾の状態の間に花粉を柱頭の外側に出し切って枯れていきます。その花粉を昆虫たちが持ち去ってくれたころになるとやっと柱頭が完全に開きます。 キキョウ科の花は自花授粉をしないように、雄しべ先熟という方法をとっているのです。 |
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秋になると次々に果実を付けてきます。 果実の中には、長さ5mm程度の薄い膜をつけた種子がたくさん入っています。熟した果実は枯れたような茶色になり隙間が出来ます。種子はそこから次々に風に乗って飛んでいきます。 |
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(2003.9.19 10.23一部追加) |
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