植物は普通、地面に根を張り、水や養分を吸い上げ、日光を浴びて生きていくのに必要な澱粉などの栄養物を自分で作ります。 寄生植物は「全寄生植物」と「半寄生植物」に分けられます。 「全寄生植物」は、種子が地面に落ちて、発芽するまでは自分の力なのですが、その後は寄生主(寄生される方、宿主)の体内に根(寄生根)を伸ばし必要な栄養分や水分を吸い取ります。だから、日光の光を浴びて光合成するために必要な葉緑素はいらないので、少なくとも芽生えのとき以外は緑色がまったくありません。宿主にほぼ完全に依存している植物ともいえます。 「半寄生植物」は自分でも光合成をしますが、宿主の根や茎から養分を吸収します。自分の力だけでは足りず、宿主にある程度は依存している植物です。 私が出会えた寄生植物ををいくつかご紹介します。まずは「全寄生植物」から。 ネナシカズラ(ヒルガオ科)Cuscuta japonica
今年みつけたと思って、来年同じところに行っても見つからないことがあります。中央の白いのが花ですが、ヒルガオ科と思えないほどに地味な花なので驚きました。元気が良いと、周り中の草や木に絡まって茂り宿主がどんどんと元気を失っていきます。私は里山などでだけ見かけました。。 アメリカネナシカズラ(ヒルガオ科)Cuscuta pentagona
ネナシカズラに似ていますが、こちらは北アメリカ原産の帰化植物です。私は海岸でハマゴウ(クマツヅラ科)に寄生しているものに出会いました。つるが黄色いので馴れると遠くからでも分かるようになりました。生い茂っている様子、花、実、ネナシカズラコブフシという虫こぶの順に画像を並べてあります。他者に寄生している植物、さらにそれに頼る昆虫・・・ ヤセウツボ(ハマウツボ科)Orobanche minor
これも帰化植物です。私が始めてこの草に出会ったのは1999年でした。シロツメクサに寄生すると聞いて夏の原っぱを歩き回りやっと数本見つけられました。ところが翌年にはあちらこちらに生えていました。2009年には気味が悪いほどニョキニョキ顔を出しました。シロツメクサ、アカツメクサ、クスダマツメクサなどマメ科の植物やヨモギなどにも寄生します。あまりにも沢山寄生されると次の年には宿主の個体数がものすごく減り、ヤセウツボもその場所では減るのですが少し離れた場所で増え続けます。 ヤマウツボ(ゴマノハグサ科) Lathreae japonica
ナンバンギセル(ハマウツボ科)Aeginetia indica L.
おなじみのナンバンギセルも寄生植物です。ススキに寄生するので8−9月にススキの根元を探すと出会えます。その他ミョウガやシランにも寄生します。ミョウガに寄生させたことのある方から伺った話ですが、何年かするとミョウガの収穫量が減ったそうです。煙管(キセル)に形が似ているのでこの名がつきました。花はうつむいているので中が見えません。そこで以前すこし調べてみました。『ナンバンギセル』にあります。 (2009.9.20) |