コナラの発芽(ブナ科コナラ属)

 

コナラの発芽1月下旬に雑木林を歩いていた時、枯れ葉をバックに真っ赤なおひな様みたいなきれいなものが目につきました。コナラ(ブナ科コナラ属)の芽生えです。
これからどんどん寒い日が来るというのに・・・周りを見るとさまざまな段階のドングリがありました。
正式には「ドングリ」というのは団栗という字から分かるように栗の様に丸っぽいものを言うわけですから、クヌギやカシワなどの実のことだそうです。
私は子どもの頃からコナラでも、シラカシでも、マテバシイでもこういう実を見ると「あっ、ドングリみっけ」などと言っていました。
現在のお子さん達も同じ様に「ドングリ!」と言われます。だから難しいことは専門家にお任せすることにしてドングリということでお話を進めましょう。

 

秋にたくさんのドングリを落として、今は葉も全て落ち、幹と枝だけ。でも、よーく見ると小さい芽が付いているコナラ。親の方はまだまだ冬の姿です。根元に落ちたドングリは落葉のふとんにくるまれて春の準備をもう始めています。

根を伸ばし始めた「ドングリは芽と根と、どちらを先に出すのでしょう?」観察会などで良く使われるクイズです。
そう、右の写真で分かるように根がまず伸びてきます。これは、ドングリに限ったことではなく、枝豆やアサガオの種子を播いても分かるように、植物はふつう、根が先に出てきます。
ちょっと考えてみれば当たり前のことですね。根が伸びて水分を吸収しはじめます。どんどん水分を吸って、芽はふくらみ始め、伸び始めるのですから。

 

はじめ、地面の上に転がっていたドングリは、根が伸びるにつれて少し持ち上がって来ます。それでもまだドングリは横向きのままです。

少しずつ、少しずつ・・・
 ドングリの堅いカラの中にしまわれていた芽は膨らんできます。
少しずつ、少しずつ・・・
 カラに裂け目が入ってやがて帽子を脱ぐようにカラは、はずれて落ちます。

二枚の双葉がひらき始めて、ドングリはやっと上を向きます。2枚の双葉の間から大人の木についているのと同じ茎や葉が伸び出してきます。ピーナツのおいしいところ、それが双葉になるはずの所です。ドングリの双葉もピーナツそっくりです。


根が伸びてくる  皮がはずれて

それにしても冬の間に芽を出して伸び始めたドングリの赤ちゃん。この中で大人の木になるまで育つのはごくわずか。冬の寒さに負けるもの、踏まれてしまうもの、少し伸びたところで動物たちに食べられてしまうもの、他の木や草の陰で日光が十分に届かず育てないまま枯れるもの等々。思わず、がんばれ〜!と声をかけたくなりました。双葉が上を向く

おまけ:
ドングリころころ○○○○○○♪
おなじみの童謡です
この○○○○○はよく間違われて「どんぐりこ」と歌われます。ドングリがお池に落ちた様子なので「どんぶりこ」が正解です。

(2002.2.1)
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