コウヤボウキ 「しべ」が早くから落ちるタイプ

コウヤボウキの雌しべ雄しべは、はじめのは斜め横を向いています。花粉が見える頃になると真っ直ぐに立ってきます。
5本の雄しべは葯(花粉を出すところ)で合体していて、葯で出来たストローの真ん中に雌しべが入っています(集葯雄ずいと言います)真ん中にある雌しべが伸びてきて、ストローの中にたまった花粉を押し出してくるのは多くのキク科の花と同じです。

コウヤボウキの花をよく見ると、筒状花の5個の花冠裂片がまだ白くリボンの様に巻いている時に、雌しべや雄しべが落ちてしまっているものと、花冠裂片が殆ど枯れてしまっても残っているものと二つのタイプがあります。

まず、しべが落ちてしまうタイプはどうなっているのか見てみました。

花花

下の画像は左から蕾、まだ葯が開いていないときの花の中、葯の根元(雌しべは取り除いてあります)
真っ直ぐに立っている蕾の時は、雄しべも、雄しべの中に包まれた雌しべも真っ直ぐです。
蕾が開いてくると雌しべの根元はカーブを描いて曲がります。これが咲き始めの花の時に横を向いている原因です。
ついでに、葯の根元を見てみました。柔らかい毛が伸びています。アザミの仲間も同じ形です。花糸(雄しべの軸)の根元付近には節があります。

蕾葯が開かない時期葯の根元

時期が進んでいくと、花柱は根元のカーブが伸びてきて、柱頭は葯のトンネルの中を伸び上がっていきます。雌しべは先端の柱頭がまだ閉じているために細く、その下は花粉を押し出すために太くなっています。雌しべの先の細いところがすっかり顔を出してしまうと、雌しべの太さは葯が作る筒ときっちりの太さになるために葯も背伸びをするように持ち上げられてきます。そして花糸の根元付近の節から、雄しべは切れてしまいます。雌しべが真っ直ぐに伸びる頃には5本の雄しべは全て根元で切れて宙づり状態になります。

雌しべが伸びきった雌しべが伸びきった雌しべが伸びきった


柱頭柱頭柱頭 根元で切れた雄しべが枯れる頃には雌しべの柱頭は大きく開いてきます。

そしてやがて雌しべも抜け落ちてしまい。白いリボンのような筒状花の中を覗いてみると、雄しべがついていた跡が小さな黒い点になって見えます。

(2003.11.7)

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