クゲヌマランCephalanthera erecta var.shizuoi はギンランの変種でギンランに較べて距が短く殆ど目立たない花です。神奈川県藤沢市鵠沼の海岸のクロマツ林で発見されました。日本固有種で絶滅危惧1A類に指定されている数少ない植物だです。(図鑑によってギンランの変種として扱わず独立種として扱うものもあります)
2004年はごくわずかな数だけで植物好きの人の間で、ひそかに話題になる程度でしたが、2005年は爆発的に増え100-500+本あるところも数箇所ありました。ヤセウツボが出現してきたときと増え方がとても似ているので、帰化植物ではないかと疑いを持ちました。 生育場所はすべて埋め立て工事や公園設置工事が行われてから20-30年程度経過したタブノキ、スダジイ、マテバシイなどの常緑広葉樹林下とコナラ林下で、クロマツ林下には1本もありませんでした。いずれの場所も他の草の侵入が殆ど無く、日照はわずかながら有るという環境でした。 |
「牧野 新日本植物図鑑」 (北隆館) | Chephalanthera shizuoi F.Maek. ギンランに比べて壮大、葉数が多く、花はより大きく、唇弁の距は明瞭に突出することがない。 |
「日本の野生植物」 (平凡社) | Cephalantera erecta var.shizuoi Ohwi ギンランとの相違点は唇弁の距が浅くて、突出する事が無い。分布は太平洋側に限られていて、海岸の砂質のクロマツ林下にはえる。 |
「レッドデータプランツ」 (山と渓谷社) | Cephalanthera erecta var.shizuoi ギンランに比べ距が短くほとんど目立たない。ギンランより葉が厚く、光沢があるようである。葉は長楕円形で長さ約7cm、基部は茎を抱かない。唇弁の上唇には縦の隆起条が3本ある。 |
「神奈川県植誌2001」 (神奈川県植物調査会 編) | Chephalanthera shizuoi F.Maek. 葉は無毛で基部は茎を抱く。苞は線状披針形。(描画では唇弁の隆起条は5本になっている) |
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本当のクゲヌマランと比較しないと無意味なのですが本物に出会っていないのでとりあえずギンランと比較しました。 |
ギンラン | クゲヌマラン? | |
唇弁 | ![]() | ![]() |
蕊柱 | ![]() |
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苞 | ![]() |
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上部の茎 | ![]() |
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葉の付け根 | ![]() |
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葉の縁 | ![]() |
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ほとんどすべての花が結実して居ました。 種子はラン科の花らしいとても細いリボン状です。 |
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(草姿の画像はAさんにお借りしました 2005.8.5作成) |
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