2004年6月4日から、庭に咲き始めたツユクサをしつこく覗いていました。ところが前日つぼみを確認しマークしておいたのに翌朝には花が咲かずいきなり未熟な果実をつけているものがいくつもありました。その未熟な果実には、開放花の未熟な果実に見られるブルーの花弁の残骸がありません。 6月14日になると同じような現象でブルーがかすかに残る未熟な果実も見つかるようになりました。見落としにしては数が多すぎるのでツユクサにも閉鎖花があるのではないかと思いつきました。
同じ仲間のマルバツユクサは地中に閉鎖花をつけることが知られています。でも私が見ているのは地上です。
『横浜の植物』(横浜植物会発行)に「閉鎖花をつけることもある」とありました。著者の大津任先生に伺ったところ、「秋に多く見られる。雌しべも雄しべも完全にあるが苞の中で花を開かずに果実を結ぶので見つけにくい。」とのことでした。
可能性があると知って本気で探し始めました。
青い閉鎖花
快晴の日の昼近くなっても開かない花がありました。横から見ると苞の中に隠れたままのものが多いです。寝坊な花もあるのかと思いましたがとうとう最後まで開きません。それが青い閉鎖花でした。
ちょっと見には閉鎖花と思いかねないけれど、下から覗いてみるとごく僅かに花の口が開いているもの、苞に押されたのか完全に開けない花などもありましたが、一番左の写真のように3枚の萼と3枚の花弁でがっちり包まれているままの花を閉鎖花、ほんの僅かでも開いているものは半開の花として記録しました。 |
閉鎖花の変化を追ってみました
室内に持ち込んだため、時間の経過は戸外にある花より遅くなっています。戸外では12時ころには花がすぼんでいます。 |
 7月25日 10:12 |
 7月25日 11:10 |
 7月25日 11:10 |
 7月25日 13:11 |
 7月25日 13:52 |
 7月25日 13:52 |
 7月26日 8:11 |
 7月29日 7:57 |
未熟な果実の様子
閉鎖花は花弁が広がらないため花が終わった時に苞の中にしわしわになった花弁が畳み込まれていますが、開放花の場合は花弁が一度広がったため萼の中からはみ出しすことが多いようです。そのため果実になる時も花弁の名残の大きさはかなり違います。花弁が白い閉鎖花の場合は右の写真のようにすっきりしています。 |
 開放花の未熟な果実 |
 青い閉鎖花の未熟な果実 |
 白い閉鎖花の未熟な果実 |
外から見たら閉鎖花でも両性花と雄花がある
ツユクサには両性花と雄花があります。外からみて閉鎖花でも2日後には結実しないで落ちてしまうこともありました。
閉鎖花をいくつか解剖し、両性花と雄花があることが分かりました。雄花のほうは閉鎖した雄花と言うべきなのでしょうが、花の時期には解剖しないと判別ができません。結実を確認するのが良いのですがこれもハムシsp.の幼虫などに食べられてしまうこともあり今のところどうやって区別していいのか分かりません。
(黄色い矢印が雌しべです) |
閉鎖花に近い白い花
ツユクサにも白花を咲かせるものがありますが、これは同じ苞の中にも青い普通の花が咲きます(最初の写真で分かりますが昨日咲いた花は通常の青い花でした) 6月15日(快晴)に観察したものです。(右側が苞の根元です) ほんの少し花の入り口が広がって中が見えますので、厳密には半開の白い花となります。 |
 6月15日 08:31 |
 6月15日 10:08 |
 6月15日 10:09 |
 6月15日 14:14 |
6月4日から15日までに我が家で咲いた花は、両性花 72個、雄花 2個、閉鎖花 65個でした。閉鎖花の割合は46.76%とかなり高いので驚きました。
6月26日から7月25日まででは1942個咲いた花の中で、両性花1504個 雄花327個 閉鎖花111個でした。閉鎖花の割合は5.72%と低くなりました。
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