ノコンギク、コウヤボウキ、コセンダングサ・・・多くのキク科の筒状花を覗いて見ると花糸(雄しべの軸)がたわんでいます(「キク科筒状花の花糸」をご参照ください)。 花自身の伸びる力で花粉を出すほかに、もう一つ、雄性期が始まる原因があります。
なお、ツワブキの舌状花は雌花(雌しべだけで、雄しべは無い)、筒状花は両性花(1つの花の中に雄しべと雌しべがある)です。 |
冠毛と筒状花の花冠上部を取り除いて見ました。 花糸はねじれています。 |
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柱頭は更に大きく開きますがこの頃には葯は枯れ始めます。
それでも花糸はねじれたままです。 |
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柱頭は伸びきって反転しました。
花糸のねじれは、かなり減ってきました。 |
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筒状花が枯れ始めました。
それでもこの花の花糸にはまだゆとりがあります。 |
花が咲き進むにつれ雌しべも雄しべも伸びますが、花糸にゆとりがあると最後まで雌しべは雄しべに包まれたままになっています。 |
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花糸の長さにゆとりがないため 雌しべが葯の筒の一部を破って、出てしまった花です。 |
全ての筒状花が雌性期に入った花でこの二つのタイプがどのくらい混ざっているか数えてみました。花をばらすのは気の毒でたった2頭花だけなのでデーターとしては頼りないのですが・・・ |
筒状花総数 | 花糸が長いタイプ | 花糸が短いタイプ | 舌状花 | |
A | 78 | 63 | 15 (19.2%) | 15 |
B | 77 | 50 | 27(35.1%) | 13 |
咲いている花を上から覗いてざっと数えた印象でも、花糸が短く雌しべが葯筒を突き破る方がはるかに少数派でした。ツワブキにとっては花糸の長さにゆとりを持たせて、雌しべ雄しべが一体となったままで枯れていくのが普通の形と言えそうです。
花糸の長さが違う二つのタイプの花がある理由は分かりませんが、いずれにしても花糸の「たわみ」はスプリングの役目をするためにあるようです。 (2003.11.19) |