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私の住んでいる横浜市金沢区にはヤマネコノメソウとヨゴレネコノメが自生しています。 湿っぽいところに生えて、背丈も低いのでつい見過ごしてしまうような地味な花で、花弁はありません。 ヤマネコノメソウの雄しべは8本、まれに4本だそうですが、私が見ているものはいつも雄しべが4本のタイプです。 萼の壁から生えている雄しべが花の中央へ向かって斜めに立っていて、真ん中に短い雌しべがあります。 |
手前の萼をどけてみました。雄しべの下に隠れるように小さな小さな雌しべが2本見えました。0.5mm程度でしょうか。受粉が終わって子房がふくらんできた時期には2本の雌しべはさらに左右に離れていきます。まるで子房が2個あるように感じますが、子房の中は1つに繋がっていました。 |
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1つずつ花を見ていたら、柱頭の先がこのように広がっている花もありました。雌しべが成熟した状態です。 |
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この仲間は自家受粉すると言われています。 左の写真のように、雄しべがやっと開き始め、柱頭の先はまだ開かないときにも花粉はついていました。 右の写真のように、雄しべが開ききり花粉だらけに見える時期になると、柱頭も開き花粉を受け取ります。このとき花柱には花粉がついていることが多いので、柱頭が開く前に付いた花粉は、柱頭が開くときに振り落とされるのではないかと想像しています。 |
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種子が熟してきました。種子の表面には小さな突起があります。ネコノメソウの仲間はこの突起の形や配置でどの種類のネコノメソウなのか区別ができるそうです。種子は子房の壁から生えているように見えました。この白い根のように見える物が種子芽育つための養分を送っていた所です。 |
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みずみずしい茎を横方向に薄くスライスしてみたら、こんな素敵な顔をしていました。 |
(2005.3.21 4.3一部追加) |
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種子が熟してくると左の画像のように子房が細く開きます。上から見ると種子がこげ茶の細い線状に見えるため昼間の猫の目みたいだと、この仲間には「ネコノメソウ」の名がつけられました。 さらに時期がたつと右の画像のように子房は開いて昼間の猫の目みたいになり、やがて完全に開いてきます。 コップのように広がった子房の中からどうやって種子がこぼれ落ちるのでしょう。 風の力かな?風の強い日に見つめてみました。せいぜい20cmあるかないかの小さな草です。地面付近ではそんなに風は強くありません。茎が揺れても種子はこぼれ落ちませんでした。雨の後 |
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雨のあと、葉の裏や茎に種子が沢山ついていました。右の画像はさらに近づいてみたところです。 種子が減っている実がかなりあります。子房の縁や裏側に種子がついているものもあります。どうやら雨が種子散布に関係しているようです。 |
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![]() まず子房の中にそっと水を入れ、減って>きたらまた足して・・・けれど1時間たっても種子は流れ出しません。 次に、ザルの内側にキッチンペーパーを張り、水道をポタッ、ポタッとしずくが垂れるくらいに細くして実の上に落ちるようにしました。 |
水滴を受けたコップ状の子房の中に水がたまり、水滴の勢いで種子はゆらゆらと頭を振ります。1分もしないうちに子房の壁と種子を繋いでいた柄が千切れた種子が飛び出してキッチンペーパーに点々と貼り付きました。 自然状態ではキッチンペーパーのようにさえぎる物が無いから、隣の茎や葉についたり、直接地面に落ちたりするのでしょう。 水滴散布、雨滴散布と呼ばれる方法でした。ネコノメソウ属の植物たち、ハルリンドウなどで知られているそうです。ハルリンドウだけでなく実が熟すと大きく口を開けて空を向いているフデリンドウ、タテヤマリンドウなども同じ方法で種子散布しているのでしょう。隣の茎についてしまった種子は? 雨で洗い流されて少しずつ地面に届く、あるいはヤマネコノメソウが枯れるまで着いたままで茎が枯れると地面に届くなどしていると思われます。 もう一つの増え方。珠芽(ムカゴ) |
図鑑には「ヤマネコノメソウの茎の基部はふくらみ、花後に楕円状で有毛の珠芽(しゅが)ができる。」とあります。(平凡社「日本の野生植物 草本U」ほか)と書いてあります。「珠芽」というのは簡単に言えばムカゴのことです。 早速見てみました。15-20cmに伸び何本も茎が出ている株の根元には複数のムカゴがありました。近くにはムカゴから出た小さな株がいくつもあり、花を1つだけ咲かせているものもありました。 |
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(2009.4.10 作成) |
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