雨飾山

  2001年10月

紅葉が美しいと聞いた雨飾山に行って来ました。ピストンの日帰り登山でした。

10月22日 曇りのち雨  横浜→松本→小谷村(おたりむら)

天気予報では今日が雨で明日から晴れるはずだったのに、なかなか雨が降ってこないのでハラハラしました。白馬村に着いた頃やっと雨が降り始めました。
宿は紅葉の真ん中、登山口に一番近い温泉のある村営の宿です。
予定より早くついたので傘をさして鎌池を散歩しました。小さな池ですが水があると紅葉もひときわ映えます。鎌池のすぐ近くには鉈池という更に小さい静かな池もありました。
案の定、夜中も雨が降り続き少し心配でした。
鎌池
鎌池

10月23日 晴のち雨  雨飾山往復

雨飾山 朝降っていた雨も登山口につく頃にはやみ幸せなこと! 入り口にある湿地帯は赤や黄色の木々、そして薄い緑のヤナギ。胸の奥まで美しさを吸い込みながら歩きます。所々に木道があり春にはミズバショウが美しそうなところです。
登り始めるとブナの黄葉(緑がかった黄色、黄色、朱色を帯びた茶色と様々な段階があります)、カエデの仲間の赤や黄色。透き通ったような青みを帯びた黄色のコシアブラもありました。トチノキ、ホオノキの大きな葉も秋色です。

足元はブナの根が張り巡らされていて歩くのがかわいそうなほど。しかもブナの落葉が敷き詰めたようになっていて下が石なのか土なのか木の根なのか分からないくらいです。なるべく加重をかけないように根を避けながら時間をかけて登りました。季節を考えて厚手の服を着てきたので汗びっしょりでした。

雨飾山 おいしい水が飲める荒菅沢で一休み。
ここから見た雨飾山と笹平のピークは二つの耳のように見えます。その下に「ふとん菱」があります。ここに顔を描いたらまるで猫の耳みたいです。

沢をわたると少し急な登りです。やや大きめの石ころの坂道をぐいぐい上っていきました。所々に梯子もありますが段数が少なくてこれもかわいらしい。

笹原の間の道になると右手に日本海が見えました。糸魚川町の平野も広がっています。
このあたりから少し風が出てきました。笹原の次はまた岩の上り坂。そしてついた頂上にはすぐ近くに二つのピークがあります。数軒先のお隣さんという感じです。右手の頂上にはこじんまりとした古びた石仏が並び、左の頂上には「山神さま」がまつられていました。登りついたときに見えた眼下の紅葉の山襞は、昼食を食べている間に雲の中に隠れてしまいました。晴れていたら白馬岳が見えて眺めが素晴らしいはずですがどんどん雲が厚くなるし寒くなってきたのであきらめて下山しました。

笹原まで戻ってきたあたりから雨になってしまいました。雨のせいか登りではそれほど気にならなかった獣の臭いが数カ所で強く感じられました。急に登山口で熊よけの鈴を売っていたことを思い出して少し足音を大きくしながら歩きました。きっと人が居ない夜などに道の近くでどなたかが用を足しているのでしょう。タヌキ? イノシシ? もしかしたらクマ?・・・

雨に濡れた木々の葉はさらに色鮮やかに見えます。葉先のしずくにも色が付いているような気がします。「もみじづくし」の一日でした。まさに「雨・飾り・山」でした。

10月24日 晴  宿の付近を散策 → 岩岳散策 → 横浜

雨飾山 贅沢なほどの赤や黄色に立ち去りがたく、もみじの真ん中の露天風呂につかったあと、宿から登山口までをもう一回楽しみました。
ブナの新緑が美しいことは知っていましたが秋のブナがこんなにきれいだとは!! またブナにヤドリギがついていて黄色やオレンジの実を付けているのにも驚きました。我が家の近くではケヤキとエノキにだけついているので目を疑いました。
背の高いヤナギの仲間にもヤドリギがついています。
レンジャク達(ヤドリギの実を好む、ヒレンジャク、キレンジャクという野鳥)が大喜びすることでしょう。
ヤマブドウの大きな葉が真っ赤に紅葉しているのもため息が出るほどの美しさでした。
あっちを眺めこっちを眺め、行ったり来たり。このあたりは杉などの人工林がほとんど無いので山中が燃えるように輝いていました。

後ろ髪を引かれる思いで帰途につきました。すこし寄り道をして岩岳へゴンドラで登り白馬岳とご対面。大雪渓をのぼり朝日岳まで行ったことが懐かしく思い出されました。少し遠くには鹿島槍と五龍岳、反対側には雨飾山。岩岳というのはおもしろい山でロープウエイやゴンドラがたくさんあります。山の写真を撮るのにもケーブルを避けるのが一苦労というほどです。頂上から裾まで自転車用のコースがうねるように通っていて若者たちがごつい自転車で駆け下りていました。楽しいのだろうなーと思う反面、なんだか山がかわいそうな気がしたのは私が自転車に乗れないせいでしょうか? 有名なコースだそうで有名な選手もここから出ているとか書いてありました。

私の山登り