聖岳 1996年8月

今回はシュラフが必要で食事も自分で作る所がある。そこで助っ人として息子に同行を頼みました。私の友人も誘い私の四人の山行でした。

8月11日  横浜→畑薙第一ダム→椹島 (椹島ロッジ泊)

椹島は製紙会社が持っている山でカラマツの植林が沢山ありました。広い敷地にロッジ風の小屋がたくさんあり宿泊者はそこを利用します。食堂は大きな建物。庭で食事することもできます。庭の池に泳いでいたのはもしかしたらイワナ? キノコの栽培もしていました。フシグロセンノウがそこここに咲いていました。

8月12日  椹島→聖平 (聖平小屋泊)

林道を少し戻って聖平へ向かいます。吊り橋を渡りマムシが多いと聞く道を進みました。やがて沢沿いに行くと聖平。例年と同じお盆休みに来たのですがやはり南アルプスは北アルプスより暖かいのでしょう。高山植物は盛りを過ぎていて少し淋しい景色でした。
夕食は自炊。食後の始末はパスしましたが炊事場にオコジョが来たそうです。さぼらなければ良かった・・・

8月13日  聖平→聖岳→百軒洞 (百軒洞山の家泊)

聖岳聖平の草原を抜けると大きな山が目の前を塞いでいました。とにかく大きい。
聖平から聖岳までの標高差は750mだそうですが森林限界を過ぎてからがとても長く、熱さと空気の薄さ風の強さでふらふらしてきます。あえぎあえぎ歩いては花を口実に休んでばかりいました。さすが南アルプスは大きいと実感しました。

聖岳頂上で一休み。ガスがかかって周囲が見えず残念でした。
その次に待っていたのが兎岳でした。聖岳は覚悟していたのですが兎岳は予想以上にキツイ山でした。なんだか聖岳を二つ登ったような気がしました。
風が強くなってきたので尾根道を避けて急坂を下り、壊れかけた古い百軒洞の小屋の前で一休み。更に急な道を登ってやっと百軒洞山の家に辿り着きました。新しくてきれいな小屋でしたが混んでいて荷物は外へ出す事になりました。それでも夜は人いきれでとても暑かったです。
私はシュラフで寝るのは今回が始めて。暑くても足を出すわけにいかず少しつらかったです。

8月14日  百軒洞→赤石岳→荒川小屋 (荒川小屋泊)

タカネビランジ 今日は雨。広い草原の大聖寺平を通過し赤石岳の避難小屋で一休みしました。
初めてであった方にコーヒーをご馳走になり体が温まりました。
赤石岳にのぼって荒川小屋まで。赤石岳は眺望がすごいと聞いていたのですがガスで残念でした。
でもひっそりと咲くタカネビランジに出会えたのだから幸せです。

8月15日  荒川小屋で停滞 (荒川小屋泊)

千枚小屋まで行く予定でしたが台風の直撃をうけて停滞。
同宿の方も一人も出発せず同じ仲間。風が強くてガラスが揺れます。みんなで押さえていましたがとうとう割れてしまい雨の中を小屋の方が外から板を打ち付けます。
何もすることのない布団一枚分の空間の一日。いろんな方の炊事を眺めていました。コンロにもいろんな種類がある、あれは美味しそう、あれは簡単に作れそう・・・
それにしても私のザックの小さいこと。他の方の荷物が大人だとしたら私のは小学生。南は体力がいるんだなー

変な話しですが小屋のトイレは昔方式。ウジ虫がたくさんわいています。それを狙って小鳥がやって来ます。下界では出会えるとワクワクするきれいなブルーのルリビタキがトイレに行くたびに側にいます。鳥だってやっぱり楽して暮らしたいのでしょう。

8月16日  荒川小屋→前岳→中岳→悪沢岳→千枚岳→椹島 (椹島ロッジ泊)

本来だったら昨夜は千枚小屋で止まるはずだったのですが停滞したので2日分を歩かなくてはならず早めに出発、朝日を浴びて歩き始めました。
我々の足では今日中に椹島までつくのがやっと。予定のある息子は今日中に帰宅したいのでまだ暗いうちに一人で宿を出て行きました。マイペースで飛ばして行ったことでしょう。

ライチョウの親子にであったり、タカネビランジを見つけて喜んだりしながら道を急ぎました。やがて林の中に咲く花の中を下りていくと千枚小屋です。
新しくてきれいな小屋でした。キバシリをはじめ普段あまりお目にかかれない鳥たちがたくさん居ます。この次はここだけを目的にしても良い、また来たい。強くそう思いました。

千枚小屋からあとはひたすら下り。下りは息が苦しくないのでついつい脚が早くなります。そうして脚が痛くなる・・・
椹島についたのは最終バスが出たあと。もう1泊する事にしてお風呂に入って一休み。

8月17日  椹島→畑薙第一ダム→横浜

あとは帰るだけ。いつものことながら帰宅後の蒸し暑さを思い後ろ髪引かれる思いです。

すこし遠くで