1996年10月に計画したものの屏風岩あたりから雨が降ってきて夢中で穂高岳山荘までたどり着き翌日は丸一日雨で停滞。3日目に雨がやんだので奥穂高岳まで登ったものの前日までの雨が凍り付いていて、岩やハシゴに掴まった手袋をはがすのに苦労するという状況で前穂高を断念し下山した事がありました。今回は少し早めに出かけましたので紅葉は今ひとつでしたが念願かなって予定通り歩き通すことができました。 |
沢渡に車を停めてバスで上高地入り。排ガスで山を汚さないために一般車は通行止めになって居るのです。とても良いことだと思います。
今日はのんびり平坦な道をたどります。明神ではズミ(別名コナシ)の赤い実が輝いていました。徳沢のテント場でのんびり一休み。 梓川沿いの道を歩いていると笹藪から「チャッ、チャッ、チャッ」とウグイスの地鳴きが聞こえ同時に「ヒーヒーヒー」と細い声がします。この「ヒー」が何だか分からず息を殺して待ちました。やがて笹藪の中を飛び交うウグイスの雛が3羽見えました。親鳥よりは一回り小さいけれど尾もちゃんと伸びていてウグイスらしい姿をしています。ウグイスの雛がこんな声を出すのをはじめて知りました。 |
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横尾大橋を渡っていよいよ登山開始です。 ウラジロナナカマドの赤い実がたくさん実り、足元にはゴゼンタチバナやマイヅルソウが赤い実を付けています。 前回は錦織のように美しかった屏風岩は今回は殆ど緑でしたが高度が上がるにつれ樹々は少しずつ色づいてきました。 |
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紅葉を追いながらザイテングラードまでのんびり登りました。ザイテングラードからは岩登りです。 空気が薄いので、脚は疲れていないのに息が苦しくなりしばしば休みました。一汗も二汗もかいて穂高岳山荘の赤い屋根が見えてきたときはうれしかったです。 この山荘の前庭には大きな岩で作ったテーブルがあり、室内にはすてきな薪ストーブがあります。暖まりながらコーヒーを飲んだりビデオを見せて頂いたりで停滞も楽しかったわねーと懐かしい思い出話をしました。 夕食を待つ間に少しずつ雲が出てきて寒くなってきました。夕日の角度が具合良くてブロッケン現象が何回も見られました。登山客達がいっせいに同じ方向を見て手を振っている様子は少し面白かったです。 |
今日のコースはなんとなく怖くて朝からドキドキしていました。奥穂高岳への登りは鎖やハシゴがあるけれど、この前よりつらく感じました。前回は小屋にザックを置いて空身だったけれど今回はザックを背負っているため? 5年分、歳をとったため? 頂上の穂高神社に一礼し、まわりを見回しました。富士山、槍ヶ岳、乗鞍、常念、少し遠くに鹿島槍、これから行く前穂高・・・風は強く寒かったけれど大満足です。 |
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右手に見えるジャンダルムは私のような素人には絶対に登れませんが、形はラピュタに出てくる巨人兵みたいでユーモラスでした。 |
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登るのに苦労した岩の山、ということは下りもやはり岩の山な訳で・・・吊り尾根の始まりです。 急な角度で続く岩を慎重に下りていきます。途中に短い鎖場が何ヶ所かありましたがここは前向きに下りていった方が楽でした。足元を確かめては傍らの岩に手で掴まりながらまわりの景色を堪能しました。風が吹くと岩に掴まっていないとなんとなく不安になります。 突然ヒヨドリの声が聞こえてきました。 「こんな高い山に?!」ビックリして見上げると300羽以上のヒヨドリの群れた鳴きながら吊り尾根を通って岳沢に移動していきます。渡りが始まっていたのです。下りきったら今度はまた岩のぼり。ハイマツが現れてきてそこを通過すると紀美子平でした。 |
穂高岳山荘でもそうでしたが、紀美子平でもイワヒバリがすぐ近くまでやって来ます。高山に住む野鳥でも人慣れしたというか、登山者が休むところには餌があると知っているのでしょう。厳しい環境に住む鳥だから仕方ないと思う反面、ダラクしたなーとも思ってしまいます。野鳥がすぐ近くに来れば誰でも嬉しい・・・ついつい食物を与えてしまうわけですが塩気や油分の多い物を与えないでほしいなーと心配になりました。
ここに荷物を置いて前穂高岳まで往復1時間ほどの岩登りです。前穂高岳からの展望は素晴らしいものでした。一等三角点があるだけのことはあります。 | ![]() |
紀美子平からの下りはいきなり急な岩場の長い鎖場でした。ここが一番急だったような気がします。少し手こずりました。
それからも延々と岩場の下り。カメラも、双眼鏡も、ストックも邪魔になるものは全てザックに入れて両手両脚、時には背中やお尻も使って体を支えながら下ります。岩場の下りではいつもあと10cmでよいから脚が長かったらと切実に思います。他の人なら充分に届くはずの足がかりが私には届かないのです。 この年は台風のため道が荒れて居たそうで、例年ならばもっとある気やすかったとあとから知りました。 カモシカのお立ち場といういかにもそれらしい岩があったり、岳沢を上からのぞき込んだり、歩くのは大変でしたが気持ちの良い道でした。所々にあるハシゴや鎖を通過して岳沢ヒュッテに着く頃にはかなり脚が疲れてきていました。 ここからは森の中の下り道。時折登ってくる方達と挨拶しながら2時間ほどで上高地に到着。それにしても今回の山はさすが岩の殿堂といわれる穂高だけあり、ザイテングラードから岳沢までは殆ど岩の道でした。北アルプスに行けば必ずある岩場ですが、こんなにずーっと岩だらけというのははじめてでした。 |
明け方にかなり強い雨が降ったのですが8時ころには晴れてきました。見上げる奥穂高岳にはうっすらと雪が積もっていました。初冠雪です。
今日はのんびり大正池まで散策。穂高連峰、焼岳を眺めながら野鳥の声や姿をのんびり楽しみました。 |
咲き残っていた花達アキノキリンソウ、ノコンギク、バイカモ(花盛り)、ミヤマキケマン実が美しかった植物ウラジロナナカマド、オノエヤナギ、ゴゼンタチバナ、ズミ、タケシマラン、チングルマ、マイヅルソウ出会った鳥や動物オシドリ、マガモ、オオタカ、キジバト、ドバト、アカゲラ、コゲラ、イワツバメ、キセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、カワガラス、イワヒバリ、ルリビタキ、ジョウビタキ、ノビタキ、ウグイス、メボソムシクイ、サメビタキ、コサメビタキ、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、アオジ、、ウソ、カケス、ホシガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス |