2015年8月。私は8年前に仙人池の帰りに山で怪我をしその後病気が見つかり治療を続けて居ましたがある程度元気になれたので久しぶりに山に行こう、タカネビランジにじっくり会いたいと鳳凰三山(薬師岳、観音岳、地蔵岳)に行くことにしました。何年ぶりかで取りだした登山靴は底がパクパクになって居たので大急ぎで買いに走るというドタバタから始まりました。私につきあって何年も山登りをあきらめてくれていた夫もうれしそうでした。不安材料はお互いの加齢と私の体力。無理だったら引き返そうねと言いつつワクワクして出発。初日は東名に入る時に渋滞したほかは無事に芦安温泉に到着しました。
![]() (夜叉神峠から見た 農鳥岳 ・ 間ノ岳 ・ 北岳) |
夜叉神峠の登山口には車道にそって駐車スペースがあります。装備を整え登山届を記載して8時に出発。 林の中にコウモリソウ、マネキグサ、センジュガンピ・・・。長いブランクがあったのに名前を覚えて居る花があるとうれしくなります。 明るい落葉樹林にサルオガセがたくさんついて居ました。 急な斜面をジグザグと登り夜叉神峠につくと北岳・間ノ岳・農鳥岳の白峰三山がくっきり見えました。 |
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夜叉神峠で一休みして樹林帯の道へと進みます。傾斜がきつくなり少し苦しくなった頃に杖立峠につきました。道標は茶色のパイプを組んでつくった四角錐の形です。このコースの主な道標はみんなこの形をしていました。 しばらく登ると明るい草原に出ました。火事場跡という場所らしい。オトギリソウの仲間、アオヤギソウなどが咲いています。下山してきた中学生の団体と出会い先生が濃いピンクから白いのまで、たくさんのタカネビランジが咲いていたと教えてくださいました。13年に行った塩見岳では探してもほんの数株のタカネビランジ(白)にしか出会えなかったので今回も見つけられるかと不安だった私はホッとしました。 ここでも白根三山ほかたくさんの山並みを見ることができました。ちょっと歩くと苺平の四角錐がありました。 |
少しずつ針葉樹が増えてきてキノコの種類も増えてきました。ピークを過ぎて針葉樹林体の中の道。あとは小屋までの下り坂というあたりで空が暗くなり冷たい風も吹いてきて急ぎ足になりました。とうとう雨具を着たころから雷も鳴りだし16時ちょっと前、小屋に飛びこんだとたんに土砂降りになりました。6時間コースですが景色を楽しんだり足元の草を覗きこんだりしながら8時間で歩くという何時もの我々のペースでした。
![]() | ![]() | 南御室小屋は針葉樹林の中にある暖かい雰囲気の小屋です。冷たくておいしい水がとても豊富! 雨上がりに小屋の前のベンチに同宿の方たちも出てこられてひとしきり楽しく語り合いました。 |
針葉樹林帯の中を上り始めましたが、雨にえぐられてくぼみができた急な見た目はザラザラするけれどあまり滑らない岩を登りしばらく行くと道をふさぐような大きな岩が「とうせんぼ」。 一度下り坂になると薬師岳小屋 が見えてくる。小屋の脇を通ってさらに進むと大きな岩がゴロゴロした場所へ出た。花崗岩だそうだ。 |
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![]() | 私はこういう道は上るのは平気ですが下るのはとても怖い。だんだん不安が募ってきます。けれど、こういう開けた岩場だからこそタカネビランジが好きな場所なのだから仕方ない。帰りのことはひとまず忘れることにして進みました。。 この辺りの砂礫地にはタカネビランジがそこここに咲いて居ます。うれしくて花の近くに座りこんでしまいます。薬師岳頂上に到着。薬師岳の頂上にもパイプを組んだ標識?がありました。空模様もちょっと怪しいので今回は地蔵岳はパスすることにし、観音岳へは夫一人で行ってもらいました。私は花の近くを離れたくなかったのです。 のんびりあちらの株、こちらの株とたくさんあるタカネビランジに挨拶をし満足して南御室小屋まで下りました。今日も4時ごろ小屋に着いたら激しい雷雨になりました。 |
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![]() | ![]() | 5時半頃小屋を出発、夜叉神峠入り口に向かいました。小屋から少し登ったところで朝もやの中の遠い山を見て名残を惜しみました。針葉樹林帯の足元の小さなランやキノコも種類が多く来る時には気がつかなかったものが沢山ありました。このコースにはセンジュガンピ、セリバシオガマも多くうれしかったです。今日の夜叉神峠は霧が立ち込めて白根三山は隠れていました。 |
![]() | 最終日はのんびりと大樺沢沿いを散策することにしました。北岳に行った時にたくさんの花を見て感激した道です。あのころは車で狭いトンネルを抜けて怖かった道、トンネルの中からイワツバメが飛び出したりした道は今は一般車両通行止めで上高地と同じようにバスで広河原まで行くようになって居ました。 なつかしい橋を渡ってからいよいよ山道へ。川沿いの道に出た時左の方で何かが動く気配。ほんの10mくらいの距離。あまり太いとは言えない木の幹を揺らしながら1頭のクマが上って行きます。思わず息をひそめて見とれました。輪っかは見えなかったけれどツキノワグマでしょう。クマは私たちを気にもせずおいしそうに若葉を食べていました。しばらく見とれてから邪魔をしないようにそっとはなれました。 ミヤマハナシノブはもう終わって居ましたがセリ科の花やジャコウソウなどを見て楽しんでから帰宅しました。 |
(2016.6.20) |