至仏山・尾瀬ヶ原・燧ヶ岳

  2000年7月

7月17日 至仏山

はるか昔、まだ学生だった頃、尾瀬ヶ原を通ったことがありました。まだ花にも山にも興味がなかった頃のことで惜しいことをしたと悔やんでいました。「尾瀬に行くか?」と主人。わくわくしながら早朝に家を出て鳩待峠に着いたのがお昼少し前。はやる心をおさえつつ一歩ずつ至仏山を登り始めました。
ハクサンシャクナゲ ベニサラサドウダンが咲く登り道。シャクゲが咲いています。
私はいつもハクサンシャクナゲとアズマシャクナゲの区別に迷ってしまいます。今回もそうでした。背丈が低いのがハクサンの方だと言う人も居るのですが場所によって違うだろうと今ひとつ決められません。帰宅後調べたところ、茎や葉の毛がどうとか書いてあります。でも、山を登りながらそこまでじっくり調べる体力も気力も私にはありません。読み進むと花びらの内側に黄緑色の斑点が有るのがハクサンシャクナゲで、アズマシャクナゲの方は濃色の斑点があると書いてあります。きっと花びらと同系色で濃いのだろうと思います。撮ってきたアップの写真を見ると緑っぽい点があるので、左の写真はハクサンシャクナゲのようです。涼しい風に吹かれながら山に彩りを添えていました。

ウグイス、イワツバメ、メボソムシクイ、カケス、ルリビタキ、イワヒバリなどの声を聞きつつ登っていくとタテヤマリンドウが目につくようになり、そろそろお花畑の始まりです。至仏山は珍しい花が多いと聞いていたので、脚がどんどん遅くなってしまいます。

道ばたにひっそりと咲くクモイイカリソウを見つけました。薄いクリーム色のイカリソウです。高山のどこにでもある美しい花達の中にオゼソウ、ホソバヒナウスユキソウなどが咲いていました。

至仏山に特殊な植物があるのは蛇紋岩という岩でできているからだそうです。蛇紋岩は植物が生えにくいので森林限界が低いとかいろいろのことがあるようです。蛇紋岩って? と調べたら緑色と書いてありました。足下の岩は見たところ普通の白っぽい岩でした。??? 
山頂を過ぎてやっと蛇紋岩の特徴が分かりました。ものすごく滑りやすいのです。表面が乾いていてざらついていても、つるつる滑るのです。

  蛇紋岩は歩きにくい!

体でしっかり覚えました。
色は? 表面は土や埃で普通の色になっていましたが何かの拍子で割れてしまった岩を見るとしっかり中は黒っぽい緑色でした。
クモイイカリソウ

7月18日 尾瀬ヶ原で遊んで尾瀬沼へ

ニッコウキスゲ この日は薄曇り。暑すぎずじっくりと花を楽しめました。行き交う人もみんな実に楽しそうに明るい顔をしています。咲き始めたニッコウキスゲの黄色の群落。カキツバタやヒオウギアヤメの紫色の群落。そして木道の近くに咲く背の低い花々。今までに湿原は何ケ所か行っていますが尾瀬の広さは格別でした。
歩き進むうちに花の種類が少しずつ違ってきます。こちらでは蕾だったものが、あちらではもう真っ盛り、そっちでは種子になりかかっている。たった1日ではとても全部を見ることが出来ません。この次はここだけに何日かかけてみたい、季節を変えてまた来たい、いろんな夢が膨らみました。
葉が細長い珍しいナガバノモウセンゴケが始めの内は見つからず少し焦りましたが一回見つかると沢山ありました。
 

トキソウ トキソウ サワラン
薄いピンクのトキソウ、少し色が濃いサワラン。葉の付き方が違う、花の開き方が違う、花の色が違う。しっかり覚えられました。トキソウの中にはほとんど白といえるほど色が薄い物もありました。外側に細いピンクの線が入っているだけであとは白。とても清楚な感じでした。
尾瀬は観光客が多いせいか所々にロッジがあって、コーヒーも飲めます。お弁当も用意しなくてもどうにかなるところでした。

尾瀬ヶ原に後ろ髪を引かれる思いでしたが時間が限られていますので尾瀬沼へ向かいました。

途中でショウキランを見つけました。
今まで見たい見たいと思っていた花だったので飛び上がるほど嬉しくて座り込んで見つめました。通りかかる方達も次々にカメラを取り出して・・・
ショウキランにはこのあと2回出会いました。一カ所にほんの一株か二株。腐生ランと言われるだけあって薄暗い湿っぽいところに咲いていました。

尾瀬沼までの間はほとんど木道が続いていました。そして所々に湿原があり花がたくさん咲いていてこの日は一日中花に浮かれていました。
リュウキンカの実
リュウキンカの果実  
ショウキラン
ショウキラン

7月19日 燧ヶ岳

明日が祝日のせいか団体客がたくさん来ていて細い登山道のすれ違いなどでかなり苦労しました。
燧ヶ岳は上の方に行くと大きな岩がごろごろしています。でもこちらは安山岩だそうで蛇紋岩のように滑らないのでほっとしました。山頂から尾瀬沼、尾瀬ヶ原、至仏山などが見えました。
至仏山の頂上は白っぽい御影石に「至仏山」と掘ってありましたがこちらは黒っぽい御影石に「燧ヶ岳」と掘ってありました。こんな大きな石を持ち上げた人が居たのだと、感心してしまいました。
下りのルートは二つありますが前日に山小屋の人に「こっちの道は整備されてないからやめなさい」と教えてもらって少し遠回りだったけれど尾瀬ヶ原に一回出るコースを通りました。知らずに悪い方の道を通った人はかなり大変だったようです。
燧ヶ岳でたくさん見られた花はサンカヨウ。6月初旬の白神山地ではまだ咲き始め、6月下旬の北岳ではほとんどが咲き終わっていましたが燧ヶ岳の頂上少し手前では真っ盛り。一面のサンカヨウという豪華さでこれだけあると”さっぱりした甘い香り”があたりに漂い、実に幸せな気分でした。
それぞれの山の雪解けの時期と関係するのでしょうが、山の高さや位置だけでは花の時期は予想できないのだと、とても不思議な気持ちがしました。

7月20日 燧裏林道

祝日なのであまり人が来ない裏林道を歩きました。ブナの森。そしてコメツガでしょうか針葉樹の森。燧裏林道このコースは鳥が多い所でした。コマドリ、オオルリ、メボソムシクイ、キビタキ、ウグイス、ゴジュウカラ・・・
そして途中に広い湿原がありました。こちらはニッコウキスゲが無くワタスゲが目立ちました。

咲いていた花達

アオヤギソウ、アカモノ、イ、イヌナズナ、イブキジャコウソウ、イワイチョウ、イワシモツケ、イワナシ、ウマノアシガタ、エビガライチゴ、エンレイソウ、オオカメノキ、オオバウバユリ、オオバキスミレ、オオバタケシマラン、オオバノヨツバムグラ、オオバミゾホオズキ、オオマルバノホロシ、オオヤマオダマキ?、オゼコウホネ、オゼソウ、オトギリソウの仲間、オニノヤガラ、カキツバタ、カトウハコベ、カニコウモリ、カラマツソウ、キツネノボタン、キヌガサソウ、キバナコマノツメ、キバナシャクナゲ、ギョウジャニンニク、キンコウカ、ギンリョウソウ、キンロバイ、クモイイカリソウ、クモマニガナ、クルマユリ、クロバナロウゲ、ゲンノショウコ、コイワカガミ?、ゴウソ、ゴゼンタチバナ、コタヌキモ、コバイケイソウ、コバノギボウシ、コバノトンボソウ、ゴマナ、サギスゲ、サワラン、サンカヨウ、シナノキンバイ、シブツアサツキ、ショウキラン、ジョウシュウアズマギク、ショウジョウバカマ、シラネアオイ、シラネセンキュウ、ズダヤクシュ、セリ、ダイコンソウ、タカネアオヤギソウ、タカネバラ、タケシマラン、タテヤマリンドウ、タニギキョウ、チングルマ、ツクバネソウ、ツマトリソウ、ツルアジサイ、ツルコケモモ、テガタチドリ、トキソウ、ナガバノモウセンゴケ、ナナカマド、ニッコウキスゲ、ニリンソウ、ネバリノギラン、ノアザミ、ノウゴウイチゴ、ノウルシ、ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンタイゲキ、ハクサンチドリ、ハナニガナ、ハリブキ、ハルジョオン、ヒオウギアヤメ、ヒメサユリ、ヒメシャクナゲ、ヒロハユキザサ、フキ、ベニサラサドウダン、ベニバナゲンノショウコ、ホソバシュロソウ、ホソバヒナウスユキソウ、マイヅルソウ、マタタビ、マルバダケブキ、ミズチドリ、ミズバショウ、ミタケスゲ、ミツガシワ、ミツバオウレン、ミネウスユキソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマシオガマ、ミヤマダイモンジソウ、ミヤマツボスミレ、ムシカリ、ムシトリスミレ、ムラサキヤシオ、モウセンゴケ、ヤグルマソウ、ヤナギトラノオ、ヤマブキショウマ、ヨツバシオガマ、リュウキンカ、レイジンソウ、レンゲツツジ、ワタスゲ
私の山登り