利尻岳 (2002年7月)

利尻岳 横浜に住んでいる私にとっては、利尻島は実に遠いところでした。稚内までの飛行機が取れなかったので札幌経由で行ってきました。ずっと昔、学生時代に行ったことがあるのですが、その時は船が大揺れ、利尻に着いたらふらふら。港近くのラーメン屋さんで休ませて貰って(何も食べられなかった・・・)次の船で戻ってきた悲しい思い出があります。そして今回が2度目のチャンス! 利尻岳の登山もあるので北海道の登山ガイト会社「ノマド」のツアーに参加しました。同行者はベテランガイドさんの他9名でした。

7月3日 曇 羽田−札幌(北大植物園と北大を散策) 札幌 泊

7月4日 晴 札幌−稚内−利尻島 鴛泊 泊

ガイドさんの運転する車で稚内まで移動。「オロロンライン」という海沿いの道はとても気持ちよい所でした。広い草原が広がります。こんなに広い草原があるということが私には驚きでした。
すぐに灌木が茂り林になるか、宅地造成されてしまうのが神奈川県の草原の現状です。冬の寒さが厳しいせいか、霧が多いせいか、土の成分が違うのかどこまでも続く原っぱ。牧草を刈り取って丸めてあるのも、そこここにある大きな風車も、太平洋と違う海の深い色も珍しくキョロキョロしっぱなしでした。
稚内からの船は昔に比べるとずっと大きくなっていて、海は穏やかで船酔いもせず無事に到着。カッコウ、ノゴマの声を聞きながら宿から利尻岳を眺めました。
牧草

7月5日 雨 利尻岳登山(鴛泊コース往復) 鴛泊 泊

出発時から雨。登山道は川になっていました。雨はますます強くなり、風も出てきました。長官山あたりから強風となり、飛ばされる心配をしながら腰をかがめて進みました。ゴゼンタチバナ、マイヅルソウなどおなじみの花が咲き、ツバメオモトのまだ緑の実が見えます。始めて見た花もあるのですが雨と風でじっくり見る気になれませんでした。
両足に靴擦れができはじめ私は長官山をすぎた小屋でダウン。同行者は頂上を目指しました。これからが花のメインコースです。どうせこのお天気では花もすぼんでいるだろう、鳥も飛ばないだろう、写真も撮れないだろう・・・そう考えて自分を慰めましたが靴が恨めしかった。それにしても何という寒さでしょう。薄暗い避難小屋の中で仲間を待つ間ガタガタと震えていました。仲間達は風に飛ばされないようにムカデ競争のように肩をつないで登ってきたそうです。
登山口からの標高差は約1500m。それを1日で往復するのでかなりきつい山でした。

それでも嬉しいことがありました。昨夏の「大雪山−トムラウシ」では非常につらかったトイレ問題が、この山では気持ちよく過ごせたのです。
前日の宿に「携帯トイレ」が置いてありました。「北海道の山ではこれは必需品なのよ」と知ったかぶりで宣伝する私。全員いやがりもせずにザックに入れました。登山口から長官小屋までの間に3ヶ所のブース(三角形のテント状の物)が設置されていて、入り口には「使用中」の札を出せるようになっていました。
雨と風で気温が低いので、水分の補給はそれほど多くありませんでしたが、それにしても山の中で何時間もすごすのです。だからこれはとても助かりました。お花畑を踏みにじることもしないですむ、安心してトイレに行ける。山ではこれが一番心苦しいことだから。
しかも、下山したら「使用済み携帯トイレの回収ボックス」が用意されていました。

昨夏は、携帯トイレは横浜から買っていきました。ブースが無いのでなるべく植物を踏まないように気を使いながら岩陰で・・・回収ボックスが無かったのでお茶の空き缶に入れて自宅まで持ち帰るという苦労をしました。それに較べてなんと快適なこと!! 
ブースの新しさから見てこれは最近とられた措置だと思いますが、北海道に限らず全国の山で見習って良い方法だと思いました。
ただ、こういう設備やメンテナンスにかかる費用はどこが負担して下さっているのか、とても気になりました。私たちの楽しみのために、地元の方にご迷惑をお掛けしているのではないでしょうか???
入山料をとっても良いと思います。

7月6日 曇のち晴 利尻島→礼文島

皮肉なことにお天気は回復してきました。早朝、宿の近くの原っぱを散策し、家の近くでは出会えない鳥達とじっくり対面し、エゾカンゾウの花を楽しみました。

(2002.7.14)

私の山登り    礼文島