今回は縦走なので電車やバスで行きたかったのですが、始発を使っても広河原に10時までにはつけません。やむを得ず芦安村まで車で行って、帰りは塩川から車までバスと電車を乗り継いでもどるという事になりました。 |
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肩の小屋までは2000年6月に下ってきた道なので気が楽です。でも今回は晴天で暑く、登りだったので予想していたよりも疲れました。今回もミヤマハナシノブ、ミソガワソウが二俣付近からたくさん咲いていました。草すべり付近のサンリンソウはわずかに残っているだけ、サンカヨウは果実になっていました。テガタチドリ、ハクサンチドリが満開、クルマユリがちらほら咲き始め・・・同じ山でも季節によって違う顔を見せてくれます。
肩ノ小屋では暖かい寝袋がふとん代わり。平日というのに割に込み合っていました。小屋の近くにはこの付近の高山植物を集めたミニ花壇があり「あれは何、これは何」と初対面の方たちと花談義を楽しみました。 |
小屋を出て少し登ると北岳の頂上。周囲に見える山また山。 今回はチョウノスケソウがたくさん咲いていました。北岳の下りは岩の道。慎重に下ってから間ノ岳までのんびり歩きました。途中の中白峰では白っぽい岩の間にコイワカガミが真っ盛り。北アルプスで見るものより背丈が低く花色が濃いような気がしました。随所にイワベンケイ、オヤマノエンドウが咲き誇っています。間ノ岳山頂は広くのんびり休憩。振り返ると北岳、少し遠くに甲斐駒、仙丈岳が見えます。 間ノ岳からは農鳥岳へ向かう人の方が多く人数が減ってきました。岩の道を下ったり登ったり三峰岳(みぶだけ)へ到着。ここは2999mとわずかに3000mに届かないけれど、眺望はすばらしいです。ごつごつした岩の向こうには塩見岳が見えました。 途中、木々が立ち枯れている所があり酸性雨が原因なのか? と少し気になります。岩の道を過ぎるとのんびり歩ける広いお花畑の道でほっとしました。行く手の樹林に熊ノ平小屋が見えてきました。見えていても遠いのが山の小屋。疲れてきた足を励ましつつ歩きます。空の一隅に黒い雲。雨に降られたら大変と無理して急ぎました。宿に着いて場所を指定され落ち着いたとたんに激しい夕立。雷も鳴っています。危ないところでした。 山小屋からほんの少し下ったところに豊富な水場があります。雨がやんでから顔を洗うことが出来ました。手が切れそうに冷たい水! 1階が食堂で2階が寝室です。この宿は20名くらい泊まっていました。塩見岳まで往復してきた方、私たちと逆コースの方などからお話を伺って怖さが募ってきてなかなか寝付けませんでした。 |
涼しい樹林の道を登ります。ここでも立ち枯れの木が目立ち、倒木を乗り越えたりかいくぐったり。ずっと前に千丈で見たきりで、今度こそと期待していたセリバシオガマはたくさん生えているけれど蕾も見えません。樹林を抜けてたどりついた北荒川岳の砂礫地では数株のピンク色のタカネビランジを見つけました。まだ咲き始めたばかり、強い風を受けて花弁がすこし痛んでいましたが可愛い姿です。
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ここから先が、私にとって泣きたくなるような道です。大きな岩の道を下ります。前穂の岳沢も怖かったけれどここも怖い道でした。距離は短いけれど斜面が急です。北アルプスだったら絶対に鎖や梯子があるでしょう。「落石注意」の看板があっても機敏に逃げられっこ無いと思いながら緊張して下りました。 その先はまた滑りやすい小石だらけの急坂をくだり、やっとハイマツ帯にでました。 |
塩見小屋が見えてきましたが悲しいことに、一度かなり下ってからまた登ったところです。もう、足の疲れは限界で暑くてのどが渇き、舌がかさかさしてきました。ハクサンシャクナゲに励まされながらふらふらと歩きました。
こぢんまりとした塩見小屋では利尻岳と同じ携帯トイレを使います。1枚200円で購入し設置されたトイレで使用、きっちり縛ってすぐ横に置かれた回収ボックスに入れる方法です。小屋の方がお客さんが来るたびに説明される面倒はありますが全員が必ず使うことになります。臭いもしないしこれが一番良い方法ではないかと感心しました。小屋によってはシーズン後に垂れ流しにするところがあるとか聞いていただけに、嬉しい方法です。 この日は夕方になっても快晴で何時までも周囲の山々が見渡せます。消灯時間になってもまだ明るく、美しい夕焼けが窓から見えました。 | ![]() |
夜中に風が強くなり雨が降り出しました。台風の影響かと心配していたのですが歩き始める頃には霧雨になりました。それにしても塩見岳を越えるのが昨日で良かった! 今日の天気では眺望は望めないし、ただでさえ風の強い斜面はもっと危険でしょう。濡れた岩場は滑るでしょう。私にはかなり難しいことになります。
宿で「三伏峠からの下りは急だから、くれぐれもゆっくりと行くように」と注意を受けて出発しました。ずっと樹林帯の道です。8時頃には雨もやみ楽しい行程です。途中やっとセリバシオガマが咲いているのに出会いました。ウスタケという赤いキノコを見たり、鳥のさえずりにうっとりしたり・・・ それにしても下りが続くと膝が痛みます。三伏峠は日本で一番高いところにある峠だとか。峠から下には数字を書いた小さなプレートが所々に置かれています。どうも100歩ごとに置かれているようです。「塩川から三伏峠まで8/10」などと書かれた紙も置かれていて目安になりました。 下って、下って、下って・・・やっと川沿いの道に出ました。ここまで来れば一安心です。川沿いの暗いところに生まれてはじめて見る花がありました。帰ってから図鑑をひっくり返してギンバイソウらしいと知りました。いろんな所へ、季節を変えて出掛けると、こういう楽しい出会いがあるのが幸せです。 |
緊張もしたけれど、いろいろな花や鳥に出会えた山ももう終わり。あとは横浜を目指して帰るだけ。毎度のことですが怪我もなく無事に終わった安心感と、寂しさがありました。 今回の山は広いし、高低差があるし、岩だらけだし、晴天に恵まれて暑かったし、体力的にはかなりつらいものでした。いつもは花や鳥をメモをしながら歩けるのに、今回は休憩時に思い出しながらメモすることしか出来ませんでした。 |
アオノツガザクラ、アオヤギソウ、イケマ、イブキジャコウソウ、イブキトラノオ、イワオウギ、イワオトギリ、イワツメクサ、イワベンケイ、ウサギギク、ウラジロナナカマド、エゾシオガマ、オオイタドリ、オオウバユリ、オオバショウマ、オオバノヨツバムグラ、オタカラコウ、オドリコソウ、オニシモツケ、オヤマノエンドウ、オンタデ、カニコウモリ、カンチコウゾリナ、キソチドリ、キツリフネ、キバナノコマノツメ、ギンバイソウ、ギンリョウソウ、ギンリョウソウモドキ、クガイソウ、クサボタン、クルマユリ、クロクモソウ、クロトウヒレン、クロマメノキ、コイワカガミ、コウモリソウ、コガネイチゴ、コケモモ(花の赤い物もあった)、ゴゼンタチバナ、コバノイチヤクソウ、コバノコゴメグサ、サラシナショウマ、サワギク、サンリンソウ、シキンカラマツ、シコタンソウ、シナノキンバイ、ジムカデ、シモツケ、シモツケソウ、ジャコウソウ、シロウマオウギ、ズダヤクシュ、セリバシオガマ、センジュガンピ、タカネグンナイフウロ、タカネツメクサ、タカネナデシコ、タカネナナカマド、タカネバラ、タカネビランジ、タカネヤハズハハコ、タチコゴメグサ、タテヤマキンバイ、タマアジサイ、チシマギキョウ、チョウノスケソウ、チングルマ、ツマトリソウ、ツリフネソウ、テガタチドリ、ネバリノギラン、ノブキ、ノリウツギ、バイカウツギ、ハクサンイチゲ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ハハコヨモギ、ヒメクワガタ、ヒメヨツバシオガマ、ヒョウタンボク、ホザキイチヨウラン、マイヅルソウ、マルバダケブキ、マルバノホロシ、ミソガワソウ、ミネウスユキソウ、ミネズオウ、ミヤマアカバナ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマオダマキ、ミヤマカラマツ、ミヤマガンクビソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマクワガタ(赤花)、ミヤマシオガマ、ミヤマシシウド、ミヤマダイコンソウ、ミヤマタニタデ、ミヤマニガナ、ミヤマハナシノブ、ミヤママンネングサ、ミヤマミミナグサ、ムカゴトラノオ、ムカゴユキノシタ、ヤグルマソウ、ヤマアジサイ、ヤマオダマキ、ヤマジノホトトギス、ヤマハハコ、ヤマブキショウマ、ヤマホタルブクロ、ユキザサ、ヨツバシオガマ、ヨツバヒヨドリ、ルイヨウショウマ |
アマツバメ、イワツバメ、イワヒバリ(家族群が多かった)、ウグイス、ウソ、オオルリ、カケス、コガラ、コマドリ、チョウゲンボウ、ヒガラ、ホシガラス、ミソサザイ、メボソムシクイ、ルリビタキ |
(2002.7.29) |
私の山登り |