五色ヶ原から薬師岳

1997年8月
12年前、まだ中学生と小学生だった息子達、そして私の母と一緒に五色ヶ原に行きました。ここのお花畑のすばらしさは私が山好きになった思い出の場所です。薬師に行く人の通過点なのか小屋も空いていて5人で2部屋使えました。その晩はものすごい流星群がやって来た日で体は疲れているのに眠るのがもったいない。布団の中から窓の外を眺め続けていました。
息子どもは元気で、どんどん走るように進み私たちが見えなくなるとそこに荷物を置いて走って戻ってきました。そして母と私の荷物をしょって自分の荷物の所へ。彼らは2倍歩いたわけです。あの頃は私はまだあまり歩けず五色ヶ原が最終目的地、黒部湖に下りました。平ノ小屋に泊まり黒部湖沿いをダムまで戻りました。その道が台風のあとで壊れていてとても怖かったのが印象に残っています。今までであんなに怖い道はありませんでした。
二度と来ることができないだろうと思っていたこの山に再び行く事ができました。しかも今度は薬師岳までちゃんと登れました。

8月10日  横浜→扇沢→室堂 (雷鳥荘泊)

久しぶりのトロリーバス。前回は室堂は霧で真っ白。山荘の人が迎えに来てくださっていました。今日は晴れてよく見えます。懐かしい気持ちで足元の草花やミクリガ池に挨拶しながら進みました。雷鳥荘も他の山小屋と同じにイワツバメの巣がたくさん作られていました。窓から見える硫黄の煙も懐かしかったです。

8月11日  室堂→竜王岳→ザラ峠→五色ヶ原 (五色ヶ原山荘泊)

浄土山、竜王岳、鬼岳、獅子岳と続きます。大きな岩がゴロゴロした下りも前回よりは上手に歩けました。鬼岳の下りは残雪が少なくて助かりましが前回は雪が多く斜面上方を横切るためのロープが切れていて、アイゼンもなく横切る自信のない我々は滑り降りたものでした。滑った先に深く切れ落ちた所がありその手前で止まれるかどうかと不安だったのを思い出します。一番身の軽い末っ子が一番上手でズボンも濡らさなかった。私と母はお尻をぬらしたっけ。
少しは山に慣れたと言っても、やっぱりザラ峠の下り坂は膝が疲れます。どうも私はざらざらした下り坂が苦手です。登るときにそんなに滑らないのだから下りでも平気なはずなのに足が数センチ滑っただけで青くなってしまいます。やがて懐かしい五色ヶ原山荘の赤い屋根。山荘のご主人もお元気でした。

8月12日  五色ヶ原散策 (五色ヶ原山荘泊)

景色 12年前になかった木道ができていました。登山道はどうしても踏み跡の土がかたまり低くなります。雨が降ると川になってしまう。そして少しでも高い場所を歩きたくなるのは人情でしょう。でもそのために高山植物はどんどん踏まれて消えてしまい、裸地が増えてしまいます。高山植物の保護のために木道が作られたのでしょう。こんな場所にこれだけの長さの木道。作った方達はさぞ大変だったことと思います。それでもやっぱり花たちの数は12年前より減っている気がしました。それとも時期がずれただけだったのでしょうか。あのころは花の名前も知らず、高山植物が生きていくのがどんなに大変か等と考えてもみずにただただ、キレイ! と感激していました。

8月13日 五色ヶ原→越中沢岳→スゴ乗越 (スゴ乗越小屋)

天気予報では雨が降りそう、空も曇っています。雨具をつけて出発しかけると山荘のご主人が「この雲は降らない。雨具なんて脱いで行きなさい。汗かくばかりだよ」
長年ここで山を見続けてこられた方の忠告を信じて雨具をしまいました。天気予報を信じて予定変更して黒部湖に下りるグループが殆どでした。・・・・・・本当に晴れてきたのです。天気予報のおかげで人影がほとんど無い貸し切りの山道を堪能しました。
越中沢岳の頂上からは周囲の景色がよく見えました。こういうところでコーヒーでも飲みたいなー、とお湯を沸かしている方々をちょっぴりうらやましく眺めました。この次は準備していきましょう。
景色
景色 スゴ乗越のテント場を通り過ぎて一登りするとスゴ乗越小屋。小さいけれどいかにも山小屋というムードのすてきな小屋でした。小屋の前に出ると夕日を浴びた山々がとてもステキでした。
(この晩キャンプ場のテントがクマにおそわれて破かれたそうです。人には被害は無かったそうでホッとしました。)

8月14日 スゴ乗越→薬師岳→太郎兵衛平 (太郎平小屋泊)

岩の山を登っていくとそこは北薬師。薬師岳が向こうに見えます。小一時間歩いてついた薬師岳の頂上には薬師如来をお祀りした小さな祠がありました。
お花畑の中を通って下っていきましたが寒いこと寒いこと。途中の休憩小屋で一休み。やがて太郎平小屋が見えてきます。ここは雲ノ平に行ったときもに泊まったところ。はじめてタテヤマリンドウの白花を見つけて嬉しかった場所です。
ヤハズタカネハハコ

8月15日 太郎兵衛平→折立→横浜

太郎兵衛平からは整備された石畳の道ができています。やがて樹林の中の急な下り。高い場所ではライチョウ、イワヒバリ、カヤクグリ、ホシガラスくらいしか居ませんが下りるに従って鳥の声が増えてきます。ルリビタキ、メボソムシクイ、コマドリ、コルリ、ゴジュウカラ・・・楽しかった山もそろそろ終わりになりました。
 

私の山登り